能力不足の従業員解雇
相談企業の業種・規模
◆業種:サービス業(子供向け学習指導教室)
◆規模:従業員数100名以上
相談経緯・依頼前の状況
複数の保護者より、某講師の授業内容・態度についてクレームが発生しており、また複数の受講者が退室する事態となっている。
某講師とは複数回の面談を実施し、授業方法や受講者との接し方等につき指導を繰り返し行っているが、自分のやり方に固執し、改める気がないようである。
会社としては解雇やむなしと考えているが、後で紛争とならないか不安がある。
解決までの流れ
当事務所へのお問い合わせを頂いた際に日時調整を行うと共に、事前に時系列表(保護者等からクレームが入った日時・内容、会社が注意指導した日時・内容、某講師が反応・態度を示した日時・内容など)と労働契約書・就業規則を準備するようお願いし、その準備期間を考慮の上、第1回目の法律相談を実施しました。
お話をお伺いし、一発解雇はどうしてもリスクが高いこと、解雇ではなく退職勧奨など他の手段を用いることも選択肢としてあり得るのではないかというアドバイスを行いました。
ご相談者様において内部検討していただいた結果、他の手段を用いて手続きを進めたいという連絡があったため、複数回の法律相談を実施し、手続きの進め方やポイント、想定問答などの準備を進めていきました。
会社担当者において事前に打ち合わせた手順にて進めていったところ、某講師は当初強く抵抗していましたが、着々と手続きを進める会社の態度に観念したのか、最後は自ら退職の申出をしてきました。
弁護士が作成した退職合意書を用いて、双方合意書にサインを行ったことから作業完了となりました。
解決のポイント
この種の問題の悩ましいところは、会社・使用者側は能力不足だと評価していても、従業員・労働者側は能力不足と認識していないというギャップがある点です。そして、いざ裁判となった場合、裁判官は何をもって「能力があるのか、無いのか、その判断基準が分からない」ということで、解雇無効と判断するケースが非常に多いのが実情です。
したがって、会社として求めている能力を明確化し、従業員と認識共有を図った上で、問題となっている従業員に対して改善プログラムを提示しました。そして、能力水準が下回っているか否かの客観化を図り、従業員の能力水準が下回る場合は改善指導を行う、それでも改善されない場合は改善命令と社内処分を行う、これを繰り返し行うことで能力不足の証拠固めを行いました。従業員も徐々に自分の立場が危うくなってきていることが認識できたようで、最終的には退職するという決断に至りました。
解決までに要した時間
◆約6ヶ月(お問い合わせから退職合意書締結まで)
当事務所ならではのサービス
いきなり弁護士が介入した場合、従業員の反発を招くなどして紛争を拡大させてしまうリスクがあります。そこで、弁護士はバックヤードにていわば黒子として対応したのですが、当事務所では、会社と綿密に連絡を取りながら、都度対処法をご提示し、労使問題の解決を図った多数の実績があります。
弁護士が直接介入するのはちょっと…というご要望にもご対応可能です。