破産申立の事前準備段階から手続きをスムーズに進め、社長個人が負担する借金等の支払い義務を免れるという究極目的を達成するためには、破産手続きの専門家である弁護士に任せるのが一番手っ取り早く、社長の負担軽減にもつながります。この点が弁護士に依頼するメリットです。
なお、司法書士も破産申立のための書類作成等を行うことができます。しかし、少なくとも関西地区の裁判所の取扱いとしては、司法書士が関与する破産申立手続きの場合、弁護士が関与する手続きよりも割増費用が発生します(裁判所に支払う予納金が数倍異なる場合があります)。したがって、弁護士に依頼したほうがトータルの費用では安価になるものと思われます。
【事前準備段階】
・弁護士による債権者宛の受任通知の発送(対外的な窓口になることの公表)
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・破産申立てを行うに際して必要となる資料の整理及び収集
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・破産申立書の作成
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【破産手続き段階】
・裁判所に破産申立て、及び裁判所へ予納金の納付
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・破産開始決定、及び破産管財人の選定
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・破産管財人と協議(破産管財人による調査への協力)
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・債権者集会
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・破産終結決定(個人の場合はその後免責決定)
なお、業種によっては、いきなり「弁護士による債権者宛の受任通知の発送」ではなく、さらに水面下で事前準備を進める場合があります。例えばサービス業、特に継続的なサービスを顧客に提供している場合、できる限り顧客の混乱を招かないよう、弁護士が対外的窓口になることを公表すタイミングを事前に検討しながら進める必要があります。
また、通常であれば、弁護士が受任してから裁判所に破産申立てを行うまで2~3か月以内で進めることが多いのですが、例えば製造業の場合、工場や機械設備、仕掛品や部材など多数の物が存在する場合、裁判所への破産申立てを行う前に、どこまで処分するのかを検討する必要があります(事前処分の進捗如何によって裁判所に納める予納金の額が変動するため)。この結果、裁判所への破産申立てが半年程度かかる場合もあります。
さらに、例えば多数の労働者を含む利害関係人を抱える建設業の場合、破産申立てを検討している情報が事前に漏れると大きな混乱が生じやすいことから、時間が多少かかっても秘密裡に準備を進めるといった工夫が必要となる場合があります。
上記のように、業界特性や事業特性等を考慮しながら破産申立て手続きを行うことになります。
比較的よく耳にするトラブル事例としては、破産申立に必要となる費用を支払ったにもかかわらず、弁護士が破産申立手続きを進めてくれない、あるいは破産手続きを進めるためには更なる費用が必要であるとして追加支払い要求を受けたというものです。
当事務所では、こういったトラブルを防止するべく、弁護士費用及び実費を含めたトータルで必要となるご負担額を明示すると共に、破産手続き申立てまでの目安を事前にご説明するようにしています。
また、破産申立て前又は破産手続き中に、破産管財人と協議の上、法人又は個人事業主の一事業部門について事業譲渡を実行し、社長が引き続き事業を行うことを可能にした実績も有しています。
さらに、法人のみ破産させ、代表者個人の破産手続きを回避した(任意整理の実行)という実績も有しています。
残念ながら破産となる場合、一定額以上の財産はすべて処分されることになり、生活をするための最低限の財産しか残らないことになります。しかし、よほどのことがない限り、借金等の負債から解放されることになりますので、そのメリットは絶大です。
借金苦で精神的にも肉体的にも追い詰められ衝動的になる前に、是非ご相談ください。
破産申立は逃げるための手段ではなく、法律が認めた新たな道を切り開くために手段であることをご理解いただければと思います。