家庭用品品質表示法と表示について②<合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品>
家庭用品品質表示法と表示について②<合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品>
(前回の家庭用品品質表示法①<繊維製品>の続きとなります)
5.合成樹脂加工品について
家庭用品品質表示法の対象となっている合成樹脂加工品は8品目(洗面器・たらい・バケツ及び浴室用の器具 、かご、 盆、水筒、食事用・食卓用又は台所用の器具、ポリエチレンフィルム製又はポリプロピレンフィルム製の袋、湯たんぽ、可搬型便器及び便所用の器具(固定式のものを除く))となっています。
ところで、合成樹脂加工品に使用される「原料樹脂」については、用語の統一化を図るべく、予め決められています。例えば、エチレンを主成分として重合した合成樹脂のことを「ポリエチレン」と表示すると決まっています。
従って、化学用語と多少異なる部分はあるかと思いますが、必ず次のリンク先を参照しながら、正確な表示を行う必要があります。
原料樹脂の種類と原料樹脂の種類を示す用語(消費者庁)
さて、表示すべき事項ですが、8品目共通で表示しなければならない事項は
「表示者名」と「住所又は電話番号」
です。
そして、各品目で必要・不要がありますが、その他に表示記載する必要がある項目として、
「原材樹脂」「耐熱温度」「耐冷温度」「容量」「寸法」「枚数」「取扱い上の注意」
となります。
次のリンク先を参照しながら、何を表示すべきか、その他注意点を確認してもらえればと思います(例えば、耐熱温度を表示する場合、試験方法まで規定されていますので、該当商品ごとで1つ1つチェックする必要があります)。
合成樹脂加工品一覧表(消費者庁)
6.電気機械器具について
家庭用品品質表示法の対象となっている電気機械器具は17品目(電気洗濯機、ジャー炊飯器、電気毛布、電気掃除機、電気冷蔵庫、換気扇、エアコンディショナー、テレビジョン受信機、電気ジューサー・ミキサー及び電気ジューサーミキサー、電気パネルヒーター、電気ポット、電気ロースター、電気かみそり、電子レンジ、卓上スタンド用けい光灯器具、電気ホットプレート、電気コーヒー沸器)となっています。
表示事項について、共通して適用されるのは
「表示者名」と「使用上の注意」
です。
その他の表示すべき事項は、各商品によって大きく異なってきますので、次のリンク先を参照しながら一つ一つ確認し対処していくしかないと思われます。
電気機械器具一覧表(消費者庁)
7.雑貨工業品
家庭用品品質表示法の対象となっている雑貨工業品は30品目となっており、かばん等の革製品もあれば、歯ブラシのような衛生用品まで幅広いものが含まれています。
表示事項の中で共通に適用されるのは、
「表示者名」と「住所又は電話番号」
です。
そして、大部分の商品で
「使用上の注意」または「取扱い上の注意」
の表示記載が求められていますが、かばん、ティッシュペーパー、歯ブラシ、障子紙については除外されています(但し、かばんについては、手入れ方法・保存方法に関する表示記載が必要です)。
その他の表示事項については、次のリンク先を参照しながら確認することになるかと思います。
雑貨工業品一覧表(消費者庁)
8.合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品と家庭用品品質表示法との関係で留意すべき事項
(1)海外からの輸入繊維製品を取り扱う場合
繊維製品のところでも述べた通り、海外業者が日本の家庭用品品質表示法に基づいた表示を行っているとは限らない以上、輸入して販売しようとする業者自らが、同法に基づいた表示を行うよう対処する必要があります。
(2)原産国表示について
繊維製品のところでも述べましたが、景品表示法に基づき規制がありますので、その点に留意する必要があります。
(3)「取扱い上の注意」「使用上の注意」と製造物責任(PL)法
家庭用品品質表示法に定める、合成樹脂加工品における「取扱い上の注意」、電気機械器具における「使用上の注意」、雑貨工業品における「取扱い上の注意」または「使用上の注意」は、あくまでも表示記載することで、家庭用品品質表示法上の表示をクリアーするに止まり、これさえ記載しておけば、製造物責任(PL)法の問題をクリアーできるというわけではありません。
従って、予想されるリスクを分析し、家庭用品品質表示法に定める事項以外にも注意すべき点があるのであれば、記載・表示するのがPLのリスクヘッジからは望ましい対応ということになります。
(逆に、家庭用品品質表示法に定める表示記載さえなかったというのであれば、製造物責任法における「指示警告上の欠陥」に該当するとして、事業者が責任を負う可能性は極めて高くなると考えられます)
※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。