知らないと危険!SNS運用代行で法的トラブルを防ぐ契約書のポイント
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【ご相談内容】
当社は、SNS運用代行サービスのリリースを準備しているところ、依頼者と締結することになる契約書のひな形が見つからず、作成に苦戦しています。
どのような点に注意して作成すればよいのか、教えてください。
【回答】
SNS運用代行サービスは、広い意味では他人からの委託を受けて業務を遂行する取引ですので、業務委託契約書を念頭に作成することになります。
ただ、一般的に出回っている業務委託契約書をコピペして作成しただけでは、内容面で過不足があり、契約書を締結する主要な目的である、紛争回避や紛争解決機能を発揮することができません。
執筆者の経験上、SNS運用代行契約書を作成する場合、特に意識しておきたい条項として、「業務内容に関する取り決め」、「業務遂行方法に関する取り決め」、「禁止事項に関する取り決め」、「免責/非保証に関する取り決め」、「権利帰属に関する取り決め」、「業務の終了/停止に関する取り決め」、「契約終了後の措置に関する取り決め」があります。
以下では、この7つを中心に押さえておきたいポイントにつき解説を行います。
なお、SNS運用代行サービスは、SNS運用支援サービスと呼ばれることもありますので、【解説】では便宜上「SNS運用代行(運用支援)」という用語例を使用します。
【解説】
1.SNS運用代行(運用支援)契約とは
SNS運用代行(運用支援)契約とは、文字通り、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の運用を第三者に代行又は支援してもらう契約のことをいいます。
個人でSNSを利用している限り、他人にSNSを運用してもらいたいという発想は出てこないかと思います。しかし、SNSを商用利用したいと考えた場合、どうしても自社リソースだけでは十分に対処できず、第三者が保有する専門的知識やノウハウ(例えば、どういった投稿をすればバズるのか等)を必要とします。
そこで、近時はこのようなSNS運用代行(運用支援)契約を締結する場面が増加してきているようです。
ところで、SNS運用代行(運用支援)契約は、民法や商法に規定されている契約類型ではないため、法的性質が曖昧な契約となります。一般的にはコンサルティング契約=準委任契約の一種と認識されていることが多いようですが、例えば、コンテンツの制作を含むのであれば請負契約の要素も含まれることになります。
このように、SNS運用代行(運用支援)契約は、法律だけで契約内容を説明しきれないことから、当事者間で適切に契約内容を定めておくが重要です。万一、SNS運用代行(運用支援)契約書を締結していなかった場合、例えば…
・委託者の業務範囲の認識と受託者の業務範囲の認識とにズレがあることで、業務遂行方法や追加報酬を巡ってトラブルが発生する
・委託者が期待したことと運用成果とのズレがあることで、返金トラブルが発生する
・契約終了後のSNSアカウントの引渡しを巡ってトラブルが発生する
といった事態に遭遇することになります。
では、契約書の重要性は理解できたとして、具体的にどのような内容にすればよいのでしょうか。
2.SNS運用代行(運用支援)契約に定められる内容
一口にSNS運用代行(運用支援)契約といっても、具体的な代行業務(支援業務)の内容によって、契約書に落とし込むべき事項が異なってきます。
とはいえ、ある程度の共通項を抽出することは可能であり、執筆者としては、次のような条項が最低でも必要ではないかと考えています。
・目的に関する取り決め
★業務内容に関する取り決め ★業務遂行方法に関する取り決め ・再委託に関する取り決め ・料金及び支払方法に関する取り決め ★禁止事項に関する取り決め ★免責/非保証に関する取り決め ★権利帰属に関する取り決め ・契約期間に関する取り決め ★業務の終了/停止に関する取り決め ・中途解約に関する取り決め ・契約解除事由に関する取り決め ・反社会的勢力の排除に関する取り決め ・損害賠償に関する取り決め ・秘密保持に関する取り決め ・権利義務の譲渡禁止に関する取り決め ・不可抗力に関する取り決め ★契約終了後の措置に関する取り決め ・存続条項に関する取り決め ・準拠法に関する取り決め ・紛争解決に関する取り決め |
上記のうち、★印がついている「業務内容に関する取り決め」、「業務遂行方法に関する取り決め」、「禁止事項に関する取り決め」、「免責/非保証に関する取り決め」、「権利帰属に関する取り決め」、「業務の終了/停止に関する取り決め」、「契約終了後の措置に関する取り決め」は、SNS運用代行(運用支援)契約特有の内容が定められることが多いと考えられます。
一方、その他については、いわゆる一般条項と呼ばれるものが多く、業務委託契約書やコンサルティング契約書などを参照すれば対処可能と思われます。
そこで、以下の3.では、上記の7つに絞って解説を行います。
3.具体的な条項例と検討するべきポイント
上記2.で記載した、SNS運用代行(運用支援)契約でポイントとなる7つの条項につき、具体例を用いながら解説します。
なお、条項例にある「甲」とは受託者である運用代行(運用支援)事業者、「乙」とは委託者であるユーザを意味します。
(1)業務内容に関する条項
第×条(業務内容)
1.本契約において、甲は、次の各号に掲げる業務の内、甲乙協議の上定めた業務(以下「本件業務」という)を行う。 (1)マーケティング支援 X、LINE、Facebook、Instagram、TikTok、その他甲乙協議の上定めた媒体(以下「掲載媒体」という)を利用した情報発信支援業務 (2)インフルエンサー発信支援業務 乙に対してインフルエンサーを紹介すること、インフルエンサーによる乙に関する情報発信支援業務。 (3)オプション業務 |
SNS運用代行(運用支援)契約で多いトラブルは、業務範囲を巡るものです。したがって、何をどこまで行うのかについては、具体的に明記することが望まれます。
上記条項例では、契約書上は概括的に記載するだけに留め、別途注文書等で具体的な業務範囲を確定するという形式にしています。
もちろん、契約書に個別具体的な業務を明記することでも問題はありません。その場合、例えば、上記条項例にあるマーケティング支援業務について、次のように記載することが考えられます。
本件業務とは、次の各号に掲げる業務とする。
(1)SNSアカウントの開設支援
①アカウント開設サポート
②分析ツールの提供、接続
③SNS運用に関する戦略立案
(2)SNS運用コンサルティング
①SNS運用全体の企画提案
②SNS運用状況の分析・改善提案、必要に応じた追加施策の提案
③投稿内容の確認・改善提案
④競合及びベンチマークアカウントの動向把握・比較・改善提案
(3)コンテンツの作成
①コンテンツ企画の提案(1ヶ月当たり×件まで)
②短編動画作成(1ヶ月当たり×件まで)
(4)コメント返信・リプライ対応(1日当たり×件まで)
(5)月次ミーティングの開催
(6)前号までに付随又は類似する業務のうち甲乙協議の上定めた業務
ちなみに、上記以外にも、ユーザが既にSNSアカウントを開設しているのであれば、そのアカウントを用いるのか(その場合、ID/PASSの開示に関する取り決めが必要)、アカウント開設以外の付随作業はどちらが行うのか(LINEであれば、Lステップの構築など)、SNS運用代行(運用支援)事業者が投稿の代行まで行うのか(その場合、投稿日時や頻度などを取り決める必要あり)、画像や動画データ等の素材はどちらが提供するのか、広告運用を行うのか…といったことを定める場合があります。
トラブルを防止するためには、誰が何をどこまで行うのかを明確にすることに尽きますので、特にSNS運用代行(運用支援)事業者は、全体フローを想定しながら業務の役割分担を意識して契約書に反映させたいところです。
なお、個別具体的に明記する必要性は理解できるものの、なかなか文字化することができないということもあるかもしれません。
その場合、逆転の発想ではないですが、明らかに業務範囲に含まれない作業をあえて契約書に明記するということも検討に値します。
例えば、次のような条項です。
第×条(本件業務に含まれない業務)
甲及び乙は、次に定める業務が本契約の対象外であることを確認する。
・×××
(2)業務遂行方法に関する条項
第×条(マーケティング支援業務の遂行方法)
甲は、以下の各号に従って業務を遂行する。 (1)甲は乙と協議のうえ、掲載効果の目標値を設定する。 (2)甲は、前号の目標値を元に、運用プラン(以下「運用プラン」という)を立案し、乙に対し提案する。 (3)-1乙が投稿内容を指定する場合、甲乙別途合意した日までに、甲に対し電子メールに添付して送付等する。 (3)-2甲が投稿内容を制作する場合、乙は、甲乙別途合意した日までに監修を実施する。 (4)甲は、運用プランに従い掲載を開始する。 (5)乙は随時掲載内容の確認を行い、異議がある場合には甲に通知し、甲は速やかにこれに対応する。 (6)甲は乙に対し、運用プランが終了した場合、すみやかに終了報告を行う。
第×条(インフルエンサー支援業務の遂行方法) 甲は、以下の各号に従って業務を遂行する。 (1)甲は、甲が適当と認めるインフルエンサーを探索し、乙に提案する。 (2)甲は、提案内容について乙の了承が得られた場合、インフルエンサーとの間で、投稿の概要、投稿方法、投稿時間、投稿回数・頻度等を協議し、乙に対し、最終的な広告掲載プラン(以下「広告プラン」という)を立案し、提案する。 (3)乙の了承後、甲はインフルエンサーに対し、広告プランを委託する。 (4)乙は投稿内容の確認を行い、異議がある場合には甲に通知し、甲は速やかにインフルエンサーと対応を協議する。 (5)甲は乙に対し、広告プランが終了した場合、すみやかに終了報告を行う。 |
SNS運用代行(運用支援)業務がどのように進んでいくのか、フローの概略を示した条項となります。
この条項を設ける目的は、委託者であるユーザにおいては、自らが関知しないところでSNS運用が行われることを防止する点にあります。一方、受託者であるSNS運用代行(運用支援)事業者においては、事前に説明しSNS上に投稿する内容を確認してもらった以上、万一投稿内容に起因して何らかの事象(例えば炎上騒ぎなど)が発生したとしても、SNS運用代行(運用支援)事業者のみが責任を負うわけではない(リスク転嫁機能)点にあります。
なお、SNS運用代行(運用支援)事業者の視点で検討した場合、「マーケティング支援業務の遂行方法」の5号については、掲載後一定期間経過した場合、委託者(乙)は異議を申し述べることができないこと、「インフルエンサー支援業務の遂行方法」の4号については、インフルエンサーの裁量にて投稿される以上、委託者(乙)の思い通りの内容とはならない場合があることなどを追加することで、責任範囲を限定するといった修正も考えられるところです。
(3)禁止事項に関する条項
第×条(禁止事項)
甲及び乙は、次の各号に該当する行為をしてはならない。 (1)相手方若しくは第三者の知的財産権、肖像権、その他の権利を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為 (2)相手方若しくは第三者の名誉や信用を毀損する行為、又はそのおそれのある行為 (3)本契約に違反する行為 (4)法令、規則、公序良俗、慣習等に反する不適切な行為 (5)本件業務等で利用する掲載媒体の運営者が定める利用規約等に違反する行為 (6)その他前各号に準じる行為 |
上記条項例のうち1号から4号及び6号は、SNS運用代行(運用支援)契約に限らず、他の業務委託契約等でも定められることが多い内容と考えられます。
ポイントは、5号を定めておくことになります。
当たり前のことですが、SNSの運営会社が定めるルールに抵触することで利用停止措置等を受けた場合、SNSの運用を実施することが困難となってしまうからです。
その他、SNS運用代行(運用支援)事業者が制作したコンテンツの無断転用禁止、SNS運用代行(運用支援)事業者が独自に構築したシステムを用いているのであれば、そのシステムに対するリバースエンジニアリングの禁止など、契約内容に応じて禁止事項を加除修正する必要があります。
(4)免責・非保証に関する条項
第×条(非保証)
1.甲は、本件業務に関して、乙又は乙の取引先の顧客による商品の購買やサービスの利用、その他の成果及び結果を何ら保証するものではない。 2.甲は、インフルエンサーが投稿する記事について、正確性、信頼性、安全性、適法性、道徳性、最新性、有用性、適合性、完全性、妥当性、乙が希望する内容の充足性、その他記事の内容について、一切の保証を行わず、かついかなる責任も負わない。
第×条(免責) 甲は、次の各号の事由により、乙に損害が発生した場合について、債務不履行責任、不法行為責任、その他の法律上の請求原因の如何を問わず、一切の責任を負わない。 (1)天災地変、災害、戦争、暴動、内乱、テロ行為、重大な疾病・感染症の拡大、法令・規制の制定・改廃、公権力による命令・処分その他の政府による行為、争議行為、ストライキ、施設・設備の故障、回線エラーを含む電気通信事業者の提供する電気通信役務の不具合、停電その他やむを得ない事由 (2)掲載媒体の運営者等の使用する設備の不良及び第三者による不正アクセス・アタック、通信経路上での傍受、又はコンピュータウイルスの感染等 (3)インフルエンサーが投稿した乙に関する記事の閲覧回数が目標を下回った場合 |
SNS運用代行(運用支援)契約において、委託者であるユーザと受託者であるSNS運用代行(運用支援)事業者とで最も利害が対立する条項となります。
この点、非保証に関する上記条項例は、かなり抽象的な記載となっていますが、例えば、フォロワー数の増加や閲覧(再生)回数について保証ができないのであればその旨明記し、当事者間で認識共有を行うことが重要となります。また、インフルエンサーに関する上記条項例は、SNS運用代行(運用支援)事業者がインフルエンサーの投稿内容につきコントロールできないことを前提とした内容となっていますが、前提が異なるのであれば、上記条項例とは異なった内容にする必要があります。
一方、免責条項については、いわゆる不可抗力の場合だけではなく、SNS運営者の動向を踏まえた場面を想定した内容を明記することが、SNS運用代行(運用支援)契約のポイントとなります。上記条項例以外にも、例えばSNS運営者の設備の保守点検、SNS運営者による投稿内容の閲覧停止措置、SNSサービス自体の終了などを定めておくことも検討に値します。また、インフルエンサーとの関係についても、業務内容に応じて上記条項例以外の場面を想定して加除修正する必要があります。最近では、インフルエンサー自ら又はインフルエンサーが所属する芸能事務所その他団体の言動が社会的非難を浴びたことに起因して委託者に生じた悪影響、インフルエンサーに対するアンチによる荒らし行動に起因して委託者に生じた悪影響などを明記することもあるようです。
(5)権利帰属・非侵害に関する条項
第×条(著作権)
1.甲が制作した成果物に関する著作権は、甲に帰属する。 2.前項の定めにかかわらず、乙が制作にかかる費用を負担した場合は、甲の制作した成 果物であっても、成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む)は乙に帰属する。この場合、甲は著作者人格権を行使しない。
第×条 甲は、甲が制作した成果物につき、日本国における第三者の知的財産権を侵害していないことを保証する。但し、乙が提供した素材又は乙の指示に基づき制作された成果物についてはこの限りではない。 |
SNSに投稿するコンテンツは著作物に該当する場合が多いことから、その権利関係を明確にしておくことは重要となります。特に、委託者であるユーザの立場であれば、SNS運用代行(運用支援)契約終了後であっても、投稿したコンテンツを引き続き利用したいという場面も想定されることから、権利関係について強い関心と利害関係を有することになります。
ちなみに、上記条項例以外にも、①権利は甲に帰属させた上で、必要なライセンスを乙に付与する形式、②権利を乙に帰属させることを前提に、乙が甲に対して対価を支払う形式、③甲乙共有にする方式などが考えられます。ただ、近時は、権利帰属だけに拘るのではなく、コンテンツの将来的な利用目的も考慮して、いつ・どこで・どういった場面で利用できるのかを確実にすることを念頭に置いたライセンス交渉に主眼を置くことが多くなっているように感じます。その場合、上記条項例とは異なり、個別具体的なライセンス条項を明記することがポイントとなります。
(6)業務の終了・停止に関する条項
第×条(本件業務の終了・停止)
甲は、次の各号の事由により、本件業務の全部又は一部を終了若しくは停止することができ、これによって乙が損害を被った場合であっても、甲は何らの責任を負わない。 (1)第×条(禁止事項)各号に該当する場合 (2)乙が料金又は本件業務を遂行するために必要な費用を支払期日までに支払わなかった場合 (3)掲載媒体が提供するサービスが終了又は停止された場合 (4)乙が本契約に違反した場合 (5)その他合理的な理由により、業務上甲が必要と判断した場合 |
1~2号及び4~5号は、特に目新しい内容ではありません。
SNS運用代行(運用支援)契約で明記しておきたい内容は、3号となります。なお、SNS運用代行(運用支援)事業者が免責されるという点では、上記(4)で解説した免責条項と重複することになりますが、上記条項例では業務遂行を終了させることができる(将来的に再開させる義務まで負わない)点まで定めていることが特徴となります。
なお、さらに一歩進めるのであれば、3号のような事象が生じた場合、SNS運用代行(運用支援)契約が当然に終了すること、終了に伴う清算方法を定めておくことで、無用なトラブルをできる限り回避するといった措置を講じることも可能となります。
(7)契約終了後の措置
第×条(契約終了後の措置)
1.甲及び乙は、事由の如何を問わず本契約が終了したときは、速やかに債権債務を清算しなければならない。 2.乙は甲に対し、本件業務のために甲が管理運用していた一切のデータにつき引渡しを求めることができない。 |
上記条項例のうち、1項については特に目新しい内容ではありません。
SNS運用代行(運用支援)契約で拘りたいのは2項となります。上記条項例は非常に抽象的に記載していますが、例えば、SNS運用代行(運用支援)契約に基づき新たに開設したアカウントや分析ツールのID/PASSを引渡さないのであれば、その旨を具体的に明記したほうが認識を共有しやすく、トラブル回避に役立つものと考えられます。
また、上記条項例では触れていませんが、例えば、投稿したコンテンツは引き続きSNS上に残ったままとなるのか(例えば、アカウントを削除すればコンテンツはSNS上に残りません。また、インフルエンサーによってはコンテンツ自体を消去する場合があります)、投稿したコンテンツの二次利用や転用、改変等は可能なのか、制作はしたものの未投稿となったコンテンツの取扱いなど、案件に応じて個別具体的な内容を定めることが重要となります。
4.SNS運用代行(運用支援)契約書の作成・チェックについて弁護士に相談するメリット
上記3.では、SNS運用代行(運用支援)契約の作成やリーガルチェックを行う上でのポイントを解説しましたが、当然のことながらこれらに留まるわけではありません。
特に、SNS運用代行(運用支援)契約は、業務内容の範囲に応じて定めるべき内容が異なることから、できる限り弁護士等の専門家に相談しながら対処したいところです。
なお、弁護士に相談することによって得られるメリットは次のようなものが考えられます。
①法的リスクの回避
弁護士は関連法令や最新の判例を熟知しているため、法的リスクを特定し、回避するための契約書を作成できます。不適切な条項や法令違反を未然に防ぎ、後のトラブルを防止します。
②契約内容の明確化
弁護士に依頼することで、業務内容や責任範囲を明確にし、双方が理解しやすい契約書になります。曖昧な表現を排除し、解釈の違いによるトラブルを防げます。
③知的財産権の保護
コンテンツ作成や運用に伴う著作権、商標権の取り扱いを適切に定めることができます。知的財産に関する争いを未然に防ぐための対策が可能です。
④機密保持の強化
弁護士は、機密保持条項やデータ保護に関する法律(例えば個人情報保護法)に基づいた適切な内容を盛り込むことができます。情報漏洩時の責任範囲や対応策を明確にできます。
⑤責任・免責条項の適正化
免責事項や損害賠償条項を法的に適切な範囲で設定し、過度な責任を負わないよう調整します。また、トラブル発生時の責任の所在を明確にします。
⑥最新の法律やガイドラインに対応
SNS運用に関する法律や業界ガイドラインは頻繁に変化します。弁護士に依頼することで、最新の基準に準拠した契約書になります。
⑦信頼性の向上
弁護士が関与した契約書は、ビジネスパートナーや取引先に対して信頼性や安心感を与えます。
⑧トラブル発生時の迅速な対応
もし契約に関するトラブルが発生した場合、弁護士が迅速に対応し、解決策を提示できます。
5.当事務所でサポートできること
当事務所は、SNS運用代行(運用支援)まで業務を拡張したWEB制作会社や広告代理店といった運用代行(運用支援)事業者側での活動はもちろん、SNSを広告宣伝ツールとして積極活用しているユーザ側での対応実績があります。このため、実例を踏まえた数々の知見とノウハウを蓄積していますので、ご相談者様には経験に裏付けられたアドバイスをご提供することが可能です。
そして上記に加え、当事務所はさらに次のような特徴を有しています。
①専門知識に基づく理解:当事務所の代表弁護士は情報処理技術者資格を保有し、SNSに関する専門用語を把握しています。このため、相談しても弁護士が理解できない・理解するまで時間がかかるといった問題が生じません。
②カスタマイズされたサポート:企業の規模や業種に応じた法的サポートを提供し、それぞれのニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。
③早期解決を目指す交渉力:トラブルが発生した場合、法廷外での早期解決を目指した交渉に尽力します。
SNS運用代行(運用支援)契約書の作成やリーガルチェック以外にも、不幸にして発生した紛争を早期に解決するために、当事務所の弁護士が全力でサポートします。
SNS運用代行(運用支援)に関する取引につき、お困り事や悩み事があれば、是非当事務所までご相談ください。
<2024年12月執筆>
※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。
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