オンライン学習サービス事業を行う上で知っておきたい法律問題・法的課題

【ご相談内容】

当社はもともと教室に受講者を集めて講義を行う学習サービスを展開していたのですが、リモート学習などのEdTechに影響され、オンラインを用いた学習サービスの提供を計画しています。

どのような法律上の規制があり、どのような法律問題に留意しなければならないのか教えてください。

 

 

【回答】

オンライン学習サービス事業には様々なものが含まれるところ、焦点の当て方によって留意するべき法律が異なってきます。

そこで、本記事では便宜上、①受講者が未成年者か成年者か利用者に焦点を当てることで生じる法律問題、②ストリーミング(一方通行での授業形式)かインタラクティブ(相互対話による形式)か技能教授方法に焦点を当てることで生じる法律問題、③事業者が直接受講者にサービス提供するのか仲介するに過ぎないのか提供者の立ち位置に焦点を当てることで生じる法律問題、に分類した上で、留意するべき事項につき解説を行います。

【解説】

1.利用者(受講者)による分類

事業者がオンライン学習サービスを提供する場合において、その対象となる利用者(受講者)は、未成年者(主として学生)と成年者(主として社会人)に分けることができます。

利用者の属性に応じて留意したい法律問題は次の通りです。

 

(1)未成年者(主として学生など)

①未成年者対応

例えば、授業補習や受験指導などを目的としたサービスの場合、未成年者を受講者として想定することになります。そして、スマートフォン等のアプリで提供されるオンライン学習の場合、親ではなく、未成年者自らが契約当事者となることも多くみられます。

この場合、事業者が気を付けなければならないのは、未成年者取消権です。

なぜなら、民法第5条では、法定代理人(通常は父親・母親)の同意を得ない法律行為(例えばオンライン学習に関する契約締結行為)について、たとえ事業者に責任がなくても一方的に取消しが可能と定められているからです。この規定があるが故に、万一、受講者が取消権を行使した場合、事業者はオンライン学習サービスを適切に提供したにもかかわらず、支払い済みの授業料を返還しなければならないことになります。

したがって、未成年者を対象としたオンライン学習事業を実施する場合、未成年者からの申込みを想定したスキーム作りが重要となります。

この点、UIに「ご両親の了解を得ていますか」といった確認画面を表示させ、「YES」とクリック操作しない限り、契約締結不可という機能を実装させるといった対策を講じることがあります。しかし、本記事執筆時点での有力な解釈は、これだけでは法定代理人の同意を得た証拠としては不十分とされています。

また、未成年者が成年であることについて詐術を用いた場合、取消しすることができないという規定(民法第21条)を根拠に、未成年者対策として、UIに「あなたは成年ですか」という表示をさせ、未成年であるにもかかわらず「成年である」と操作した場合は詐術に該当するという対策を講じる事業者も存在するようです。しかし、これについても本記事執筆時点の有力な解釈は、この手法だけでは詐術に該当しないとされています。

取消権行使のリスクはある程度想定しつつ、利用上限額を設定するなどして、できる限り損失を軽減するといった対策を講じる必要があります。

 

なお、この未成年者取消権の問題は、上記のような取引行為だけではなく、例えば、個人データの第三者提供への同意といった場面にまで影響を及ぼすことに注意が必要です。

 

②情報開示(概要書面及び契約書面の交付)

授業補習や受験指導などを目的としたサービスの場合、特定商取引法が定める規制類型の1つである特定継続的役務提供に該当します(なお、オンラインのみでの学習サービスであれば家庭教師、リアル教室が併存するのであれば学習塾に該当すると考えられます)。

この特定継続的役務提供に該当する場合、事業者は特定商取引法が定める一定事項の情報を書面又は電磁的方法により開示する必要があります(概要書面と契約書面と呼ばれるものです)。

事業者にとって厄介なのは、この情報開示を適切に行わなかった場合、改めて情報開示を適切に行った日から起算して8日を経過しない限り、受講者からのクーリングオフを甘受しなければならないという点です。逆に言えば、適切な情報開示が行われなかった場合、永久にクーリングオフされるリスクを抱え込むことを意味します。

 

ちなみに、この情報開示は書面又は電磁的方法を用いて行う必要があるところ、オンライン学習という性質上、電磁的方法を用いて情報開示したいと考える事業者が一定数存在すると思われます。しかし、本記事執筆時点(2024年7月)での法令内容からすると、電磁的方法を用いて開示することは非常にハードルが高いと言わざるを得ません。

このため、オンライン学習という事業形態であるにもかかわらず、情報開示については事実上書面を用いて行う必要があります。この結果、ネットビジネスの特徴である迅速性を欠く状況となることに事業者は留意する必要があります。

 

なお、オンライン学習は特定商取引法が定める規制類型の1つである通信販売にも該当するため、通信販売規制に基づく情報開示にも気を配る必要があるのですが、これについては後述(2)①で解説します。

 

③契約内容

受講者と契約を締結する場合、一般的には事業者が定めた契約書(利用規約)を用いることが多いと思われます。このため、どうしても事業者にとって都合のよい契約内容となりがちです。

この契約内容の行き過ぎた不均衡を是正するものとして、上記②で解説した特定商取引法による規制があります。また、他にも消費者契約法や民法の定型約款に基づく不当条項規制があります。代表的な規制は次の通りです。

特定商取引法

(特定継続的役務提供)

クーリングオフの強制
中途解約権の行使保証
中途解約時の法令上の清算ルールの強制
消費者契約法 事業者を免責する条項の無効化
消費者の損害賠償責任の制限
消費者の利益を一方的に害する条項の無効化
民法(定型約款) 不当条項に対する合意不成立

 

契約書(利用規約)を作成するに当たっては、正確な法令知識とバランス感覚が必要となりますが、事業者にこの点を求めるのは酷かもしれません。可能な限り、弁護士の支援を受けながら作成することをお勧めします。

 

(2)成年者(主として社会人)

①情報開示

成年者が受講するオンライン学習は、授業補習や受験指導を目的としないことが多いと考えられます。したがって、原則的には特定継続的役務提供に該当しないのですが、語学教室やパソコン教室の場合、例外的に特定継続的役務提供に該当し、上記(1)で解説した情報開示規制(概要書面と契約書面の交付)が義務付けられます。

例外の例外…といったところがありますので、事業者は注意深く特定商取引法の適用の有無につき判断する必要があります。

 

ところで、特定継続的役務提供に該当するか否かを問わず、オンライン学習は特定商取引法が定める規制類型の1つである通信販売に該当します。

いわゆる“特定商取引法に基づく表示”と称されるものですが、法定の情報開示事項としては15項目ありますので、この点も合わせて対処する必要があります。

なお、特定継続的役務提供には該当せず、通信販売のみ該当する場合、クーリングオフの適用はありません。

 

②契約内容

契約内容に関する規制は、上記(1)③と同様です。

 

③申込み手続き

特定継続的役務提供に該当しない場合、オンライン上で申込みを受付け、契約手続きを完了させる仕組みを採用する事業者が多いと思われます。

この仕組み自体が直ちに問題となることはありません。

しかし、通信販売に該当する以上、いわゆる最終確認画面に記載するべき事項が法定化されていますので、UIが法律の求める条件を充足するのか、事業者は注意する必要があります(時々、システム制作業者に任せきりで何ら確認していない事業者がいます。しかし、システム制作業者は、必ずしも通信販売規制に準拠した画面構成を制作しているわけではありません。この点は要注意です)。

 

2.技能の教授方法による分類

事業者がオンライン学習サービスを提供する場合において、技能の教授方法(サービスの提供方法)には、ストリーミング(一方通行での授業形式)とインタラクティブ(相互対話による形式)に分けることができます。

技能の教授方法(サービスの提供方法)に応じて留意したい法律問題は次の通りです。

 

(1)ストリーミング(一方通行での授業形式)

①教材管理

例えば、事業者が受講者に対して提供する教材や講師がオリジナルで作成した副教材などについて、他者の著作権を侵害していないか確認する必要があります。

なお、よくある誤解事例を3つ紹介します。

1つ目は、著作権者より許諾を受けてはいたものの、実はオンライン学習での利用まで許諾を受けていなかったという事例です。これはどういうことかというと、実は著作権とは、複製権や公衆送信権といった著作財産権と呼ばれるものや、公表権や同一性保持権といった著作者人格権と呼ばれるもの、録音権や放送権といった著作隣接権と呼ばれるものなど多種多様な権利を総称したものです。このため、細分化された権利ごとでライセンスを得る必要があります。例えば、単にプリント等の配布物(有体物)としての許諾は複製権に関する許諾であって、インターネット上への公開を許諾する公衆送信権の許諾を含みません。この点、かなり勘違いが多く、事業者が権利者より警告を受けるという事例が多く発生しているようですので注意したいところです。

2つ目は、著作権法第35条の存在です。一見すると授業の同時中継を行う場合は教材等の著作物を無許可で利用することが可能なように読めてしまいます。しかし、著作権法第35条は「営利を目的としない教育機関」となっています。このため、オンライン学習サービスを提供する事業者は、著作権法第35条の適用が無く、無許可で教材等の著作物を利用することは不可能です。

3つ目は、著作権法第36条の存在です。たしかに、著作権法第36条では試験目的で著作物を利用する場合は無許可で使用してよいことを定めています。ただ、営利目的の場合は「補償金」を支払うことが条件となっています。したがって、無料で使用できるというわけではないことに注意が必要です。

 

ところで、近時は各受講者の学習度に応じて異なる教材が自動的に提供されるサービスが実施されています。この提供される教材をAIが自動生成する場合、事業者の与り知らないところで著作権侵害が行われるリスクが生じます(なお、提供される教材自体は事業者が著作権侵害にならないよう作成しAIが当該教材を取捨選択して提供するだけなら、著作権侵害リスクを事業者がコントロールすることは可能です)。

AIと著作権の問題は、法律が十分追い付いておらず議論も錯綜しています。AIの利活用を含むEdTechを利活用する場合、事業者はどういったリスクが生じるのか、事前に弁護士等に相談しておくことをお勧めします。

 

②コンテンツ管理

オンライン学習サービスの肝は、なんといっても教授内容(コンテンツ)です。

したがって、事業者は、教授内容(コンテンツ)が漏洩しないよう徹底的な管理を行う必要があるのですが、オンラインであるが故に簡単にコピーされ、第三者に譲渡されたりします。

技術的な対策を講じること、契約書(利用規約)で禁止事項として定め違反した場合には厳しい制裁を科すことはもちろんですが、受講者への周知徹底が重要となります。

なお、教授内容(コンテンツ)は著作物に該当することが多いと考えられますので、不当な利用が発覚した場合は著作権侵害で対応することになります。

 

③講師管理

ストリーミングによるオンライン学習の場合、講師を中心に据えた映像コンテンツが配信されることが多いと思われます。

このため、講師の肖像権についてどのように処理するのか注意を払う必要があります。特に、オンライン学習の場合、繰り返し映像配信することが可能となるところ、講師が退職などして肖像権を理由に映像配信の差止を要求するといった事態を想定して対処することが重要です。

この観点からすると、地理的範囲(配信対象地域に制限があるのか)、時間的範囲(いつまで配信するのか)、使用範囲(映像編集に制限があるのか等)を意識した肖像権の使用許諾契約を講師との間で締結することが望ましいと言えます。また、講師によっては独特のパフォーマンス等で魅力ある授業を実施する場合も想定されますので、その場合は著作権(著作隣接権、著作者人格権)についてもライセンスを受けるといった権利処理を意識したほうが良いかもしれません。

 

次に、講師によっては、講師自らが教材を制作し、これを用いて教授するということがあります。事業者と講師とで労働契約を締結している場合であれば、職務著作として事業者に教材の著作権が帰属する場合が多いと考えられますが(著作権法第15条)、必ず職務著作に該当するとも言い切れません。また、事業者と講師との契約が業務委託契約の場合、職務著作に関する規定が適用されません。

これらの点を踏まえると、事業者は、講師が制作したオリジナル教材の著作権を含む権利関係についても意識して対処する必要があります。

 

④受講者管理

オンライン学習のために配信する映像コンテンツに受講者が映り込む又はあえて映し出す場合、受講者の肖像権への対応が必須となります。

この点、撮影の都合上、どうしても映り込んでしまうのであれば、その旨契約書(利用規約)に明記し、受講者の承諾を得ると共に、受講に際して注意喚起する(画像をオフにする等)といった方法が考えられます。一方、あえて映し出す場合、受講者の肖像の積極的利用という側面が強くなり、受講者の受け止め方も心理的に異なると考えられることから、契約書(利用規約)とは別に肖像の使用許諾に関する契約を締結する方が無難と考えられます(この際に、肖像の宣伝広告目的での使用の有無や対価の有無などについても、適切に取り決めるべきです)。

 

次に、肖像と似て非なる問題として、受講者のプライバシーへの配慮を行う必要があります。なぜなら、受講者によっては、オンライン学習を受講していること自体を第三者に知られたくないと考える場合があるからです。

もちろん、一般的には「××氏が本講座を受講しています」といった告知を事業者がわざわざ行うことは無いと考えられますが、上記の肖像権でも記載したような映り込み等で受講歴が第三者に分かってしまうといったことも想定されるところです。

厳密にはプライバシー侵害と言えるのか法的には微妙なところがあるものの、トラブル回避という観点からは、プライバシーへの取扱いにつき、契約書(利用規約)に定めたほうがよいと考えられます。

 

さらに、事業者がオンライン学習サービスの提供に付随して、講師と受講者とで直接のやり取りが可能となるチャット機能や、受講者同士の交流を可能とする掲示板機能を実装する場合があります。

不適切な投稿については事業者が取り締まることを明確にした上で、禁止事項や違反した場合の制裁措置を周知するといった対応を事業者は行う必要があります。

 

(2)インタラクティブ(相互対話による形式)

インタラクティブ形式で注意したい法律問題は、上記(1)で解説したストリーミング形式と同様となります。

ここでは、インタラクティブ形式特有の留意事項につき解説します。

 

①受講者が提供する資料等への対応

例えば、受講者が講師に対して、市販教材の記載事項を撮影しアップロード等した上で教授を求めるといったやり取りが発生した場合、事業者は著作権侵害リスクを抱え込むことになります。

こういった事態を回避するためにも、契約書(利用規約)で禁止事項を明確に定めると共に、受講者への周知を徹底することが事業者に求められます。

 

②講師と受講者との直接的な接触への対応

例えば、事業者の関知しないところで講師と受講者がプライベートのSNSでつながり、事業者を介することなく接触を図っていたところ、何らかのトラブルが発生した場合、そのトラブルに事業者が巻き込まれるというリスクを抱え込むことになります。

プライベートな事柄について、どこまで事業者が介入するのかという難しい問題となりますが、講師に対しては受講者との私的交際は禁止するといった対応を事業者は検討してよいかもしれません。

 

3.サービス提供者による分類

事業者がオンライン学習サービスを提供する場合において、サービス提供者には、事業者が受講者と契約し直接サービスを提供する方法と、事業者は講師と受講者との取引機会を仲介するに留まる方法とに分けることができます。

サービス提供者の立ち位置に応じて留意したい法律問題は次の通りです。

 

(1)事業者が受講者に対して直接サービスを提供する場合

上記1.及び2.で解説した内容がそのまま当てはまりますが、触れていない内容としてマネタイズ、すなわち決済方法に関する注意事項があります。

すなわち、オンライン学習サービスは、スマートフォン端末でのアプリケーションを通じて提供される場合があるところ、多くはプラットフォーマー(AndroidであればGoogle Play、iPhoneであればAppStore等)を通じて利用者に提供されます。

この場合、マネタイズの方法としてアプリ外課金を想定していないか注意を払う必要があります。なぜなら、一部のプラットフォーマーは、アプリ外課金を禁止しており、これに違反した場合はアプリ自体をリジェクトする取扱いを行っているからです。

例えば、いわゆるフリーミアム戦略を取り、一部の講義について無料で提供しつつ、どこかのタイミングで有料講義に切り替えてもらうことを想定している場合、アプリ外課金を念頭に置いているビジネスモデルを見かけますので、マネタイズの方法を変更する必要があることに注意を要します。

また、受講するに際して、事業者が独自に発行するポイントやコイン等が必要となる場合、資金決済法に定める前払式支払手段に該当しないかを検討する必要があります。

 

(2)事業者が講師と受講者との取引機会を仲介する場合

①職業安定法との関係

事業者が、オンライン学習に関する講師と受講者との取引機会を仲介する場合(いわゆるスキルシェアの場合)、職業紹介事業に該当しないか確認する必要があります。なぜなら、職業紹介事業に該当する場合、職業安定法に基づく許可が必要となるからです(なお、単に求人情報や求職者情報を掲載する場合であっても、一定の要件を満たせば特定募集情報等提供事業として届出が必要となります)。

あまり多い事例ではないと思われますが、職業安定法による規制を免れたいのであれば、事業者はオンライン学習サービスの仲介により、講師が労働者、受講者が使用者という関係にならないか確認する必要があります。

 

②ユーザ(講師、受講者)管理

シェアリングエコノミー事業を含むプラットフォーム事業の場合、事業者はあくまでも取引機会を付与しただけに過ぎず、オンライン学習サービスに起因するトラブルについては一切の責任を負わないという立場をとることが通常です。

たしかに、この立場をとること自体は理に適っており、法律も当然に問題視するわけではありません。

しかし、近時の裁判例を踏まえると、例えば、複数のユーザ間で同一のトラブルが発生し、事業者も認識を予見できたにもかかわらず何らの対策を講じなかった場合や、ユーザと第三者との間で発生したトラブルを事業者が認識したにもかかわらず何ら対策を講じなかった場合は、事業者に法的責任が認められる可能性が高くなっています。また、取引DPF法の施工に伴い、事業者は一切責任を負わないという立場を貫くことは難しい状況になりつつあります。

したがって、契約書(利用規約)で禁止事項を明記することはもちろん、ユーザによる問題行動を認知した場合には、何らかの対応は行うという意味で、ユーザ管理を行う必要があることに注意する必要があります。

 

③マネタイズの方法

例えば、エスクロー決済を採用する場合、資金移動業に該当するため資金決済法に基づく規制を受けないか、ユーザ間で事業者を介さず中抜き取引が実施されている場合、誰からどのような名目で金員を徴収するのか、決済代行会社を利用する場合、事業者が想定した取引に対応しているかなど、確認するべき事項が多々生じてきます。

執筆者の実感として、意外な盲点となっていることが多いので、事前に弁護士等の専門家に相談して欲しい事項となります。

 

4.弁護士に相談するメリット

オンライン学習サービス事業を立ち上げる場合、基本的員は特別な許認可は不要であるため、誰でも参入しやすいという特徴があります。

しかし、上記1.から3.までで解説した通り、オンライン学習サービス事業を展開するに際しては、多数の法律上の規制が存在します。そして、法律上の規制の違反の程度によっては、行政が事業停止を命令する、事業者の名称を公表することで事実上事業運営が困難な状態に陥るといったリスクが付きまといます。

したがって、事業者はこれらの法律上の規制に対して適切な対策を講じる必要があるのですが、必ずしも法律の専門家ではない事業者のみで全てを調査し尽くすことは事実上不可能と言わざるを得ません。

また、本記事では触れていませんが、オンライン学習サービス事業を運営する上で、受講者とのトラブルが不可避になるところ、近時は炎上リスクを気にしつつ、カスハラ対策も実行しなければならないなど、事業者の負担は大きくなるばかりです。

これらの経営課題の手助けをしてもらえること、これが弁護士に相談するメリットとなります。

 

 

5.当事務所でサポートできること

オンライン学習サービス事業の運営・展開に関する相談を弁護士に依頼するメリットは上記4.に記載した通りです。

当事務所では、さらに次のような強みとサポートを行っています。

 

①オンライン学習サービス事業の運営・展開に複数の対応実績があること

当事務所の代表弁護士は、2001年の弁護士登録以来、委託者・受託者の立場を問わずご依頼に基づき、オンライン学習サービス事業に関する利用規約の作成・リーガルチェック、事前の適法性検査と回避策の提案、トラブル対応等に関与し、解決を図ってきました。

これらの現場で培われた知見とノウハウを活用しながら、ご相談者様への対応を心がけています。

 

②時々刻々変化する現場での対応を意識していること

弁護士に対する不満として、「言っていることは分かるが、現場でどのように実践すればよいのか分からない」というものがあります。

この不満に対する解消法は色々なものが考えられますが、当事務所では、例えば、法務担当者ではなく、オンライン学習サービス事業を現場運営している担当者との間で直接の質疑応答を可としています。

現場担当者との接触を密にすることで、実情に応じた対処法の提示を常に意識しています。

 

③原因分析と今後の防止策の提案を行っていること

弁護士が関与する前にオンライン学習サービス事業を開始したところ、ご相談者様が思い描いていたような結論を得られず、以後の対応に苦慮している場合があるかもしれません。

こういった場合に必要なのは、方針・対処法の軌道修正をすることはもちろんのこと、なぜ思い描いた結論に至らなかったのか原因検証し、今後同じ問題が発生しないよう対策を講じることです。

当事務所では、ご相談者様とのやり取りを通じて気が付いた問題点の抽出を行い、改善の必要性につきご提案を行っています。そして、ご相談者様よりご依頼があった場合、オプションサービスとして、ひな形の作成、交渉マニュアルの整備、担当者向け勉強会の実施なども行っています。

オンライン学習サービス事業の適正化とトラブル防止のための継続的なコンサルティングサービスもご対応可能です。

 

 

 

<2024年7月執筆>

※上記記載事項は弁護士湯原伸一の個人的見解をまとめたものです。今後の社会事情の変動や裁判所の判断などにより適宜見解を変更する場合がありますのでご注意下さい。