【事例13 レベニューシェア方式によるアプリ開発及び保守運用の実施】
相談企業の業種・規模
業種:教育業
規模:30名以下
相談経緯・依頼前の状況
当社は、実教室に受講者を集めて講義を行うという方式を採用しているが、遠方のため通学できない顧客向けに、リモート学習サービスを展開しようと考えている。
そのため、アプリ開発事業者の選定を行っているところ、とある事業者より、レベニューシェア方式によるアプリ開発及び保守運用の提案を受けた。協議を進めた結果、そのアプリ開発事業者に依頼を行うことになったところ、契約書案が提示された。
契約書のリーガルチェックを行ってほしい。
解決までの流れ
レベニューシェア方式は、近年用いられるようになった取引方式であり、現時点でも一般的とは言い難いところがあります。そのため、誤解されている事業者が一定数存在することから、まずは契約書から導かれるビジネス内容と、ご相談者様が認識しているビジネス内容とに相違がないかを中心に説明をした方が良いと考えました。
そこで、リーガルチェックに要する費用の見積りを行うための事前協議を行いたい旨弁護士より申入れ、Zoomを用いて打合せを行いました(この打ち合わせ自体は無料で実施)。
弁護士が契約書を読んで理解したビジネス内容を説明したところ、ご相談者様が認識されていたビジネス内容との相違が明らかとなったことから、この点を先方と確認するようお願いして事前協議を終えました。
その後、ご相談者様より再度連絡があり、アプリ開発事業者と協議した結果、“ご相談者様の言い分を受け入れるので、契約書の修正案を作成してほしい”との要望を受けたとのことでした。その上で、ご相談者様より、契約書の修正案を作成してほしいとのご依頼がありました。
弁護士費用につきご了解を得た上で、ご相談者様の意向をお伺いし、契約書の修正案を作成し納品しました。その後、アプリ開発事業者より一部変更申入れがあったことから、この変更を受け入れるのかご相談者様と協議し、対案などをご説明させていただきました。そうしたところ、ご相談者様より、アプリ開発事業者との間で協議が整ったとの報告を受けましたので、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
レベニューシェアとは、端的に言えば「利益分配」を意味します。そして、アプリやシステム開発取引で用いられるレベニューシェア方式による取引の場合、ユーザ視点で指摘すれば、アプリ開発に要する初期投資は安く済むが、アプリ運用による収益は独占できず、中長期的にみると収益を得にくくなるという特徴を有します。
一方、アプリ開発事業者としては、一定期間アプリが運用されることを前提に、時間をかけて開発費用を回収し、中長期的に利益を確保するというビジネスモデルとなります。この結果、ユーザに対して、アプリ運用を途中で放棄されないようにするべく、通常のシステム開発契約とは異なる厳しい制約を課すことが当然というスタンスで臨んできます。
ユーザ側の事業者が、意外と上記ポイントを理解せず、目先の投資の安さのみに惹かれてレベニューシェア方式の契約を締結しようとすることが多いところ、本件のご相談者様にもその傾向がみられました。
本来のビジネスモデルの内容を正しく理解し、アプリ開発事業者と詰めた協議を行い、契約内容の修正ができたことが、解決のポイントとなりました。
解決までに要した時間
約1ヶ月(お問い合わせから、協議完了報告を受けた日まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所では、どのような契約を締結しようとしているのか、必ずご相談者様のご認識をお伺いした上で、ご認識に基づくビジネス内容と契約書より読み取れるビジネス内容とに齟齬がないかチェックするようにしています。
そして、齟齬がある場合は、どのように対処するべきか等のアドバイスやご提案をさせて頂き、事前にトラブルの芽を摘むよう尽力しています。
複雑なビジネスモデルや初めて経験する取引に関する、契約書の作成・チェック等に関するご相談があれば、是非当事務所までお声掛けください。