【事例7 データ消失に伴う責任追及への対応(受託者側)】
相談企業の業種・規模
業種:WEB制作業
規模:10名以下
相談経緯・依頼前の状況
WEB制作を受託し、引き続き運用保守業務を受託していた。ある日レンタルサーバの不具合によりWEBデータが消失したため、復元作業を行ったところ、委託者よりデータが復旧していない旨のクレームを受けると共に、弁護士より内容証明郵便が届いた。
今後の対応について相談に乗ってほしい。
解決までの流れ
お問い合わせの際に、委託者との契約書をご準備いただくようお願いしたところ、契約書は存在しておらず、全てLINEでやり取りしているとのご説明を受けました。そこで、当日はLINEが閲覧できる電子端末をご持参いただくようお願いし、第1回目の法律相談に臨みました。
第1回目の法律相談において、ご相談者様より、WEB制作を受注するに至ったときから現在に至るまでの経緯を一通りお伺いすると共に、関連するLINEのやり取りを確認させていただきました。ご相談者様からのご説明内容を整理しているうちに、委託者が指摘する復旧していないデータとは、ご相談者様が制作したデータではない以上、そもそも運用保守の対象外ではないかという理論構成を考えるに至りました。
そこで、今後の方針につきご提案すると共に、今後の交渉窓口を弁護士にするのか、ご相談者様本人にするのか検討してほしい旨お願いしたところ、ご相談者様より弁護士に依頼したいとのご希望があったため、その場で受任し、委託者側弁護士に対し、ご相談者様に責任はない旨の反論書面を送付しました。
数週間後、委託者側弁護士より連絡がありましたが、明らかに証拠関係とは異なる主張であったため、委託者の要求を受け入れることはできないこと及び交渉による解決は難しいことを回答しました。
その後、委託者との契約関係を終了させ清算処理までは行いましたが、1年以上経過しても委託者側弁護士より何らのアクションがないことから、いったん弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
契約書が存在しないため、運用保守業務の対象範囲があいまいであり、方針の組み立てが難しい事例でした。しかし、詳細な事実経過の聞き取りとLINE画像との照合作業を行うことで突破口を見出し、その点を指摘することで、委託者に対して権利行使を諦めるよう仕向けたことが解決のポイントとなりました。
なお、今後同様のトラブルが発生しないよう、契約書作成の必要性をご提案し、別途契約書の作成及び整備のお手伝いもさせて頂きました。
解決までに要した時間
約14ヶ月(第1回目の法律相談から、相手方弁護士からの最終連絡より1年経過まで)
当事務所ならではのサービス
紛争状態となった場合、理想的には相手方と何らかの合意を行い解決することが望ましいことは言うまでもありません。もっとも、見解の相違が著しい場合などは、当方として主張するべき事項は主張しておき、後は静観するといった戦略を時にはとる必要もあります。
どちらの戦略をとるのかはケースバイケースとなりますが、当事務所では、後者の戦略をとった場合であっても、後から何らかの動きがあった場合に備えて直ぐに対応できるよう交渉内容を記録化しています。
データの消失事故に限らず、双方の言い分が食い違う場合の対応につきご相談がある場合、是非当事務所までお声掛けください。