【事例3】紹介手数料の支払いを免れようとした依頼者からの回収業務
相談企業の業種・規模
業種:人材紹介業
規模:50名以下
相談経緯・依頼前の状況
求人者からの委託に基づき、人材紹介会社が選択した求職者を複数名紹介したところ、求人者より、内1名について採用に向けて準備を進めたい旨の連絡があった。そこで、求職者と求人者との連絡調整を行うと共に、採用面接への立会いなどの業務を遂行していった。
ところが、求人者より採用を見送りたい旨連絡が入った。
直感的に怪しいと思い、しばらく調査をしていたところ、求職者が求人者に採用され勤務していることが明らかとなった。
求人者に対して紹介手数料を請求したい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談の際、紹介契約書を見せてもらったところ、求人者の署名押印が行われておらず、果たして紹介契約が成立したといえるのか疑義がある状態でした。このため、紹介契約不成立を前提にした法理論を検討する必要があること、その場合、求人者に対して求職者を紹介するに至った経緯や具体的な紹介業務の遂行状況などを5W1H形式などで細かく洗い出す必要があることを、ご相談者様に説明しました。また、メール等のやり取りについて全て洗い出し、資料化したほうが良い旨もアドバイスし、第1回目の法律相談を終了させました。
その後、事実関係と資料収集が一通り終了したとの連絡を受け、第2回目の法律相談を実施しました。検証を行ったものの、やはり紹介契約が成立したと言い切ってよいのか疑義が残ったため、今後の方針として、紹介契約が成立した場合と不成立の場合の両方を念頭に置きつつ、求人者の反応次第では訴訟も視野に入れる必要があることをご説明し、ご相談者様のご意向を確認しました。そうしたところ、まずは弁護士名義で内容証明郵便を出し、これに対して求人者がどのような反応を示すのか見極めるということになりました。
弁護士名義の内容証明郵便を送付したところ、求人者の代表者より直接連絡があり、何度か協議を行いました。その結果、ご相談者様が定めている紹介手数料満額には達しないものの、ある程度納得できる金額を支払うことで協議が整いました。合意書を作成し、求人者からの支払いを確認できたことから、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
本事例の場合、求人者の悪質性が高いと判断されるものの、一方で人材紹介会社のミスも重大であり、有利な状態とは言い難いものでした。
この点について、ご相談者様と十分認識のすり合わせを行いつつ、経済的合理性を考慮しながら着地点を見出すことができたことが、早期解決のポイントとなりました。
解決までに要した時間
約2ヶ月(第1回目の法律相談から、支払い確認まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所では、事例のような人材紹介をはじめ、不動産仲介、プラットフォーム上のマッチング事業などを行っている複数の事業者の顧問弁護士を務めています。そして、いわゆる「飛ばし」「中抜き」問題への対応は何度も経験し、具体的な交渉及び裁判を通じた知見とノウハウを当事務所では保有しています。
紹介手数料や仲介手数料などを免れようとする依頼者との紛争については、上記の知見とノウハウを駆使してご対応することが可能です。不当な直接取引に関するご相談がある場合、是非当事務所にお声掛けください。
※上記はあくまでも一例です。案件ごとにより手順や結果が変わることもありますので、この点はご容赦願います。