【事例4】<IT企業・ネット通販などのインターネットに関する解決事例・実績>開発と報酬請求(ベンダー側)】

相談企業の業種・規模

業種:システム制作業

規模:10名以下

 

相談経緯・依頼前の状況

コンペ方式により選定された後、システム開発に向けた要件定義作業を行っていた。

しかし、提案依頼書(RFP)に記載されていない開発要望が五月雨式に出てくる状態であり、なかなか要件定義がまとまらない状況となっていた。また、全ての要望事項を実装するとなると当初想定されていた作業量を大幅に超過することから、費用の見直しも必要となっていた。

問題解決に向けて真摯に協議を続けていたところ、注文者が突然協議を打ち切ることを宣言した。これに対し、当社が作業賃相当額の報酬支払いを求めたところ、注文者は契約書を締結していない以上、支払い義務はないとして拒絶した。

作業に見合った報酬金を回収したい。

 

解決までの流れ

契約書を締結していないとのことでしたので、コンペに際して注文者が提示した資料、ご相談者様が提案した資料、選定後に作成した資料、選定後のやり取りが分かる資料(メール、チャット等)を第1回目の法律相談時にご持参いただくことを予めお願いし、第1回目の法律相談に臨みました。

第1回目の法律相談において、これまでの一連の経過を資料と共にご説明頂き、法的に問題となりそうな事項の整理を行いました。その上で、弁護士名義の内容証明郵便を送付しても、注文者は反発するだけで報酬を支払ってくるとは思えないこと、訴訟となった場合、××の点が弱みとなるのでフォローが必要となること等の方針説明を行いました。ご相談者様において、一度持ち帰ってご検討いただくことを確認し、第1回目の法律相談は終了となりました。

数日後、ご相談者様より再度確認したい事項があるとの申出があり、第2回目の法律相談を実施しました。この際、ご相談者様からの疑問点に対して回答及び説明を行ったところ、依頼したい旨の意思表明があり、弁護士受任となりました。

弁護士名義の内容証明郵便を送付しましたが、予想通り支払い義務はないとする回答書が返送されてきたため、直ぐに訴訟提起を行いました。

契約の成否、契約締結上の過失、開発が途中で頓挫した原因と帰責性など様々な論点で主張の応酬がありましたが、途中で裁判官より和解による解決が試みられました。その結果、ご相談者様が最低限支払ってもらいたいと考えていた金額を上回る解決金の提示があったことから、和解を受け入れました。注文者から解決金の支払いを確認できたため、弁護士による作業は完了となりました。

 

解決のポイント

システム開発の現場では、注文者が設定している完成時期にやや無理があることが多く、契約交渉に十分な時間をかけることができないまま、作業だけが先に進行するといったことがよく行われます。このため、途中で開発業務が中断した場合、契約締結未了であることを理由に報酬の支払いを拒絶されるという事例が後を絶ちません。

もちろん、契約締結未了であることは、ベンダにとって不利な事情であることは間違いありません。しかし、契約締結が未了であっても、一部報酬の支払いが認められた裁判例は存在しており、この考え方を用いれば、いくばくかの報酬を支払ってもらえることがあります。

膨大な資料収集と分析が必要となり、時間と労力を要することになりますが、諦めずに対処することが解決のポイントと言えます。

 

解決までに要した時間

約1年(第1回目の法律相談から、訴訟上の和解まで)

 

当事務所ならではのサービス

システム開発訴訟は専門性が高く、対応できる弁護士が限られていると言われています。

当事務所に所属する弁護士は、複数のシステム開発事業者の顧問を務めており、上記のような事例を含めたシステム開発訴訟をいくつも手掛けた実績があります。

実例を通して習得できた知見とノウハウを駆使することで、ご相談者様が抱えている問題解決に向けて取り組むことをお約束します。システム開発に関するご相談があれば、是非当事務所までお声掛けください。

※上記はあくまでも一例です。案件ごとにより手順や結果が変わることもありますので、この点はご容赦願います。

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