アフィリエイトプログラムと広告法(景品表示法など)
アフィリエイトプログラムと広告法(景品表示法など)
第1 アフィリエイトプログラムとは
平成23年10月28日(平成24年5月9日改訂)に消費者庁より公表された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(以下「ガイドライン」といいます)を参照すると、
・インターネットを用いた広告手法の一つであること
・ブログその他のウェブサイトの運営者(=アフィリエイター)が当該サイトに、当該運営者以外の者(=広告主)が供給する商品・サービスのバナー広告等を掲載し、当該サイトを閲覧した者がバナー広告等をクリックしたり、バナー広告等を通じて広告主のサイトにアクセスして広告主の商品・サービスを購入したり、購入の申し込みを行ったりした場合など、あらかじめ定められた条件に従って、アフィリエイターに対して、広告主から(アフィリエイトサービスプロバイダーを通じて)成功報酬が支払われること
・成功報酬型広告とされていること
第2 アフィリエイトプログラムが景品表示法上問題となる場面
1. 広告主が、(アフィリエイトサービスプロバイダーを通じて)アフィリエイターに対し、広告内容を記載したコンテンツ(バナー広告など)を提供する場合において、当該バナー広告等の内容について、商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される場合には、「広告主」に対して、景品表示法上の不当表示に関する責任が生じます。
2. 一方、アフィリエイターは、広告主が指定したバナー広告等を掲載するに過ぎない以上、自ら商品・サービスを供給する主体ではないので、景品表示法上の責任主体として処断されることはありません。
但し、後述第4の通り、景品表示法上の問題として処断されないだけであって、場合によっては他の法律により責任追及される場合があり得ます。
第3 問題となる具体的事例
上記ガイドラインによれば、次のような事例が掲載されています。
・アフィリエイトプログラムで使用されるバナー広告において、実際には当該バナー広告の対象となる商品は普段から1,980円で販売されていたものであるにもかかわらず、「今だけ! 通常価格10,000円が なんと!1,980円!! 早い者勝ち!今すぐクリック!!」と表示すること。
・アフィリエイトプログラムで使用されるバナー広告において、十分な根拠がないにもかかわらず、「食事制限なし! 気になる部分に貼るだけで簡単ダイエット!! 詳しくはこちら」と表示すること。
第4 その他
1. 上記「第2の2」で記載した通り、アフィリエイターが景品表示法で処断されることはありません。
もっとも、景品表示法以外の観点から検討した場合、一切の責任を負わないと考えるのは早計と言えます。
例えば、消費者被害が拡大した悪徳商法について、実質的にはその広告等塔になっていた有名芸能人に対して損害賠償請求訴訟が提起されたり、パチンコ必勝法などの広告を掲載していた広告媒体(新聞・雑誌など)への責任追及を認めた裁判例が存在したりします(但し、原則論としては広告媒体に広告内容の調査義務は無いと言われています。責任が認められた事例は事案の特殊性が影響しているのではないかと思われます)。
したがって、一定の影響力のあるアフィリエイター(アルファブロガー等)が、当該広告内容について虚偽であることを認識しながら広告を掲載していたとなると、何らかの責任追及が行われるなど紛争に巻き込まれるリスクは否定できないと思われます。
2. また、最近では、バナー広告とのクリック率を少しでも上昇させるために、単にバナー広告を掲載するのではなく、アフィリエイターなりに「商品・サービスの使用に関する感想」や「独自の広告文言」等の顧客誘引文言を入れる場合が見受けられます。
このような形態になると、商品・サービスの販売主体ではないとはいえ、実質的には広告主としての地位に近付く、すなわち、正確かつ適切な広告を行う義務が発生してきますので、民事上の責任追及を受けやすくなってしまうのではないかと思われます。
一方、広告主は、アフィリエイターによる勝手な広告表現が行われないよう、常に監視する必要があるかと思います。最悪の場合、知らないところで違法な広告を行われてしまい、当該広告を通じて被害を受けたと主張する者より損害賠償等の責任追及を受けてしまうことさえあり得るところです。
3. さらに、他の業法による広告規制が及ぶ場合もあります。
例えば、健康食品を取り扱う場合、アフィリエイターと言えども、医薬品的な効能効果を標榜することを禁止した薬事法68条、健康の保持増進効果に関する虚偽・誇大広告を禁止した健康増進法32条の2が適用されますので、注意が必要です。
例えば、健康食品を取り扱う場合、アフィリエイターと言えども、医薬品的な効能効果を標榜することを禁止した薬事法68条、健康の保持増進効果に関する虚偽・誇大広告を禁止した健康増進法32条の2が適用されますので、注意が必要です。
※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。