<会社への予防注射~Vol.7> 不動産以外の「資産」の見直し②

<会社への予防注射~Vol.7> 不動産以外の「資産」の見直し②


 


 会社の事業活動に必要な機械設備等の動産、売掛金などの債権を含めた「資産」に関して、法的にどの様なことに留意すべきでしょうか。


 

 
 

ポイント

 前回は、企業経営に欠かせない「資産」としてリース物件と所有権留保物件について検討しました。
 今回は売掛金・貸付金などの債権、いざというときの保険について検討します。
 
 

解説

社長(以下「社」) :最近、売上は上がっているんだけど、何だか資金繰りが厳しいんだよね。。。
 
弁護士(以下「弁」) :資金繰りについては専門外ですが、売上に伴い仕入れ代金が増加していること、売上に伴う売掛金が回収できていないことなど、現金収支のバランスが崩れているのではと思いますが、どうですか? 
 
社 :たしかに、売上金を回収できていないところがあるんだよね。
 
弁 :いつから回収できていないんですか?
 
社 :いや、もう1年以上前だよ。2年くらいかな。
 
弁 :それは少しマズイかもしれません。売掛金の消滅時効は2年ですので…。
 
社 :え!?商取引による債権って5年じゃないの?
 
弁 :そう思いがちなんですが、実は違うんです。とりあえず急いで内容証明郵便を出しましょう。6ヶ月間の猶予が得られますので。
 
社 :早速出しておいてよ。
 
弁 :分かりました.準備しておきますね。
 
社 :時効に関連してだけど、貸付金の時効は何年なの?
 
弁 :これは2年ではなく5年と考えて間違いないかと思います。ところで、貸付金については借用書などの証拠はありますか?
 
社 :古くからの付き合いのある人なんだよ。だから口約束だね。
 
弁 :そうであれば、書面上の証拠は残しておいた方が良いと思います。悲しきかな、紛争となった場合、借受けたことがない、別人への貸付だ、贈与だ、出資だ…等々、そもそも「貸付があったか」で争いが発生しますので。
 
社 :どんな証拠を取れば良いんだい?
 
弁 :とりあえずは、「本日現在、貴社より合計金○○円借り受けていることを認めます」という一文だけでも十分ですよ。
 
社 :支払方法などを定める必要は無いの?
 
弁 :定めることが可能であれば行った方が良いですが、細かい条件設定をすればするほど、なかなか一筆にサインをもらえませんので、最低限「貸し借りがあった」証拠取得を優先するのも作戦かと思います。
 
社 :リスクヘッジのためには、ちょっとずつ証拠を固めていくと言うことか。分かったよ。今度頼んでみるよ。
ところで、リスクヘッジで思い出したんだけど、企業活動に伴う保険について、何か気を付けておいた方が良いことってあるかい?
 
弁 :いきなり話題が変わりましたね(笑)。
そうですね…、やはり、事故が発生した場合に果たして保険金が支給されるのか、要は保険でカバーされるものなのか、この点については絶対に外せないチェック事項だと思います。
 
社 :保険金が支給されないことってあるのかい?
 
弁 :そうですね…。最近ではあまり見かけませんが、某社のPL保険でカバーされる範囲と、いわゆるPL法上の損害賠償の範囲が異なっていたがために、紛争となったと聞いたことがありますね。
 
社 :具体的には?
 
弁 :某社のPL保険でカバーされていたのが、製造商品それ自体の修理費だけであったのに対し、PL法上の責任範囲は、その製造商品に起因して発生した拡大損害(例:他の商品もダメになってしまった場合の損害や逸失利益など)も含まれます。この拡大損害分について某社のPL保険でカバーされていなかったため、トラブルが発生したみたいです。
 
社 :名前にとらわれず、しっかりと保険の範囲を見なければ行けないということだね。

 


 

※上記記載事項はあくまでも当職の個人的見解に過ぎず、内容の保証までは致しかねますのでご注意下さい。

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