【事例10 問題行動の多い取締役に対する解任手続き】
相談企業の業種・規模
業種:サービス業
規模:50名以下
相談経緯・依頼前の状況
当社の取締役ポストが空いたことから、当社に長年勤め、それなりの功績があり、定年間際となっている従業員を取締役に昇格させることにした。
ところが、取締役になった途端、ほとんど仕事をしなくなり、従業員に対して横柄な態度やハラスメントをするなど、問題行動が目立つようになった。社内の従業員有志より、当該取締役に対して何らかの対策を講じるよう要請もあったことから、対処法につき相談に乗ってほしい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談
第1回目の法律相談において、ご相談者様において、問題となっている取締役の処遇につきどのようにしたいと考えているのかをお伺いしました。そうしたところ、取締役として不適格なので解任したいこと、従業員として再雇用することも考えていないとのことでした。
そこで、弁護士より、
①取締役を解任すること自体は可能であること、しかし、損害賠償リスクが残ること
②本件の場合、使用人兼務役員の可能性があり、取締役としての地位をはく奪しても労働契約はまだ残っていると法的に評価されるリスクがあること
③安全に事を進めるのであれば、本人を説得して退任・退職してもらう必要があること、
をご説明しました。なお、取締役の残任期がわずかであれば、再任しないことで取締役の地位を奪うことも可能であることもご説明しました。ご相談者様より、持ち帰って社内で検討したいとのことでしたので、第1回目の法律相談は終了となりました。
第2回目の法律相談
その後、ご相談者様より連絡があり、第2回目の法律相談を実施しました。
ご相談者様より、その取締役に対して、問題行動があることを会社で把握していること、態度を正すよう注意をしたが効き目がなく、逆にその取締役の弁護士と名乗る者より警告書が届いたというご説明を受けました。そこで、方針を協議した結果、残任期がわずかであることから任期切れを狙うこと、その期間中に生じた問題行動についてはすべて文書化すること、取締役会を定期的に開催し、その中で問題行動を正すよう都度決議することを決めると共に、退職届を提出していること、業務遂行状況が従業員時代とは大きく異なることを踏まえ、使用人兼務役員には該当しないものとして取り扱うことを決め、実行することとなりました。
再任されると思い込んでいた取締役は、任期満了と共に会社から追い出される格好となったため、取締役の代理人弁護士より様々な要求事項が記載された通知書が送付されてきました。これに対し、これまでに準備していた証拠などを全て開示の上、反論書面を提出したところ、以後、連絡が無くなりました。
半年以上経過しても連絡がないことから、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
焦らずに時間をかけて証拠づくりを徹底したことで、有利に交渉を進めることができたことが解決のポイントとなりました。
解決までに要した時間
約2年間(第1回目の法律相談から、反論書面提出後6ヶ月経過まで)
当事務所ならではのサービス
中小企業の場合、創業者の意向次第で突然解任するといった事態が起こりがちですが、損害賠償リスクや従業員兼務役員リスクなど、あとで大きな代償を払うことも有ります。これらのリスクを最小限化しつつ対処することについて、当事務所は複数の解決事例を有しています。
問題のある取締役・役員への対処法にお悩みの方がいましたら、是非当事務所までご相談ください。