【事例9 自社従業員の不正行為が報道された場合の初期対応】
相談企業の業種・規模
業種:サービス業
規模:100名以下
相談経緯・依頼前の状況
当社従業員が、勤務時間終了後に社有車を運転中、他人が運転する車両に対してあおり運転を行った結果事故を起こした。その結果、当該従業員は逮捕された。また、あおり行為を記録した動画がYouTubeを含むSNS等で配信されたことで、当該従業員の勤務先が当社であることが発覚し、当社宛に抗議電話が殺到し、配信者と名乗る者が訪問してきたりするなど深刻な被害を受けている。
どのように対処すればよいのか、教えてほしい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談
①従業員の処遇をどうするのか、②対外的な広報活動はどうするのか、③交通事故被害者への対応はどうするのか、を区分し整理することがポイントとなることをアドバイスしました。
その上で、従業員の処遇については持ち帰って検討していただくこと、交通事故被害者への対応は基本的には保険会社に任せるとしても、被害者と接触可能であれば謝罪を行った方がよいことをご提案しました。また、対外的な広報活動については、ご相談者様が運営する会社ホームページ等でお詫び文書を掲載すること、報道関係者や配信者などが事業所内に無断で立ち入るようであれば直ぐに警察に連絡すること(事前に警察に被害状況を説明し連携を取っておくこと)、事業所外で報道関係者や配信者などの付きまとい行為にあったとしても、会社の広報担当者を通すよう申し入れそれ以外は会話しないよう全従業員に周知することなど、具体的な方策をご提案しました。なお、お詫び文書の作成依頼を受けたため、別途費用が発生することをご説明し、ご了承を得た上で作成を行いました。
第2回目の法律相談
数日後、当該従業員の処遇について相談に乗って欲しいとの連絡があり、第2回目の法律相談を実施しました。
ご相談者様のご意向としては、あおり運転は社会的に許容されない行動であること、人身事故という重大な結果を招いたこと、会社及び他の従業員に対して多大な迷惑をかけていることを踏まえ、厳罰に処したいとのことでした。これを受け、労働法的な観点からすると懲戒解雇処分とすることはやや躊躇を覚えること、いったんは退職勧奨を行うことをご提案しました。そして、警察での接見の仕方やルール、退職勧奨の提案の仕方などを一通りご説明し、第2回目の法律相談を終了させました。
その後、ご相談者様において手続きを進めたところ、従業員と合意退職することで解決したとの報告を受け、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
力を入れてやるべきことと、あえて諦めるべきことを明確に区分し、最短(最速)で対処することが重要となります。
特に本件のような事例の場合、YouTube等の動画削除に目が行きがちですが、削除すること自体が難しいこと、仮に削除されてもミラー動画が大量に生成されることから、初期段階で時間と労力をかけるべき事項ではないということがポイントなります。
この点を押さえて1つずつ実行すれば、世間的な騒ぎも短期間で終息します。ご相談者様も、1週間程度で日常の業務体制に戻すことができました。
解決までに要した時間
約3週間(第1回目の法律相談から、合意退職が整うまで)
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