【事例8 条例規制を説明しなかったことに対する責任追及の事例】
相談企業の業種・規模
業種:介護福祉業
規模:200名以下
相談経緯・依頼前の状況
介護事業を行うための物件探索を行っていたところ、適切な物件を発見したため、管理会社に問い合わせた。そうしたところ、管理会社が所有する物件とのことで、直接契約交渉を行い、賃貸借契約を締結するに至った。
賃貸借契約締結後、物件の内外装工事を行い、プレオープンという段階に至って、市より連絡があり、当該物件のある地域内では介護事業を行うことが条例で禁止されている旨指摘を受けた。この結果、当該物件で介護事業を行うことができなかった。
所有者兼賃貸人に対して、損害賠償請求を行いたい。
解決までの流れ
お問い合わせを受け、事前に該当する条例を調査すると共に、賃貸借契約書の内容を検討した上で、第1回目の法律相談に臨みました。
第1回目の法律相談において、所有者兼賃貸人の調査・説明義務違反が認められるのかという観点から、お話をお伺いしました。その結果、調査・説明義務違反を問うことは可能と考えられるものの、一方でご相談者様の調査義務も問われるのではないかという疑義も生まれました。そこで、いきなり訴訟ではなく、所有者兼賃貸人の出方を探るべく、いったん交渉による解決を試みたほうがよいのではないかとご提案すると共に、この交渉窓口を弁護士とするのか、ご相談者様とするのか検討するようお願いしました。ご相談者様は一度持ち帰って検討するとのことでしたので、第1回目の法律相談を終了させました。
数日後、ご相談者様内での検討結果を踏まえて、再度のご相談依頼があったため、第2回目の法律相談を実施しました。この中で、ご相談者様が現状被っている損害内容につき確認すると共に、弁護士を交渉窓口として進めてほしいとのご要望がありました。そこで、お見積書をご提示し、ご相談者様より了解を得て、弁護士より所有者兼賃貸人に対し、損害賠償の支払いを求める通知書の発送を行いました。
所有者兼賃貸人にも弁護士が付いたため、弁護士同士による協議となりました。何度か協議を試みましたが、双方の解決額に開きがあるため交渉決裂となり、訴訟提起するに至りました。
双方主張と立証を尽くしたところ、第一審ではご相談者様一部勝訴の判決となりました。双方控訴したところ、第二審では裁判官の説得もあり和解による解決となりました。
和解による解決金の支払いを受けたことで、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
訴訟による解決を図る場合、どうしても時間がかかってしまいますが、この点につきご相談者様よりご了解を得られたことで、じっくり時間をかけながら相手方の責任追及を行うことができた点が解決のポイントとなりました。
なお、本件事例については、過失相殺が認められたものの、所有者兼賃貸人の責任負担割合が大きいと認定されたことで、ご相談者様としてもある程度納得のいく解決策となりました。
解決までに要した時間
約2年6ヶ月(第1回目の法律相談から、和解による解決まで)
当事務所ならではのサービス
本件事例は、似たような裁判例がありそうで実はないという事例だったのですが、過去の先例がない場合であっても、弁護士が調査と検証を尽くすことである程度の見通しをご提示することは可能です。
珍しい事例や特殊なトラブルであっても、対応可能な範囲でお話をお伺いすることは可能です。ご相談があれば是非当事務所にお声掛けください。