【事例8 取引関係を否定した相手方からの回収業務】
相談企業の業種・規模
業種:メンテナンス業
規模:30名以下
相談経緯・依頼前の状況
取引先より、通信機器に関する保守運用を含むメンテナンス業務を受託している。先日、取引先の通信回線に不具合が発生し、通信が一斉ダウンするという事故が発生した。
当社は通信機器に関するメンテナンス業務を受託しているに過ぎず、通信回線に関する補修業務を受託していないが、取引先より依頼を受け、通信回線不具合の原因調査と応急措置を講じ、通信を復旧させることに成功した。
通信回線に関する業務を遂行したことに伴い、取引先に対して報酬請求を行ったところ、取引先は、メンテナンス業務の範囲であり別途請求はおかしい、あるいは金額について合意していない以上は請求に応じられない等と主張し、支払いに応じようとしない。
当社としても人員を現場に派遣し、長時間の作業を行った以上、無報酬という訳にはいかないので、相談に乗ってほしい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談前に、メンテナンス業務に関する契約書を弁護士宛にご送付いただき、事前に内容を検討してから、第1回目の法律相談に臨みました。
弁護士より、契約書に業務範囲として「その他付随する業務」と定めているところ、今回行った業務が「その他付随する業務」に含まれるのか判断がつかないという問題点をまずはご説明させていただきました。また、仮に含まれないとしても、通信復旧作業を受託するに至る過程で金額に関する合意が存在しない以上、今回請求した額が当然に認められる確証がないという問題点についてもご説明させていただきました。さらに、報酬請求を強行することで、今後のメンテナンス業務取引に悪影響が生じないかについても検討してほしい旨ご説明させていただきました。
上記のような点を踏まえ、①弁護士が受任し、回収交渉を進めるパターン、②弁護士によるサポートを得ながら、いったんはご相談者様において回収交渉を進めるパターンの2通りをご提案したところ、ご相談者様において一度持ち帰って検討することとなり、第1回目の法律相談は終了となりました。
その後、ご相談者様より、いったん自社で回収交渉してみようと思うが、取引先に対する論理的な説得話法、逆にNGワードなどがあれば教えて欲しいとの連絡があり、第2回目の法律相談を実施しました。この第2回目の法律相談において、ある程度の想定問答を作成し、どのタイミングで交渉を切り上げるのかも含め交渉の進め方を確認しました。
数週間後、ご相談者様より、請求額には満たないものの、一定の支払いに応じてもらえることとなったので合意書を作成してほしいとの連絡がありました。弁護士において合意書案を作成し、ご相談者様に提示したところ、この内容にてクロージングすることになったとの報告を受け、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
今後も取引自体は継続したいと考えてはいるものの、一方で弁護士が交渉窓口として出てきた場合、どうしても紛争状態となり、その取引に悪影響を及ぼしかねないという事例は相当数存在するように思います。
この場合、ご相談者様自ら回収業務を行いつつ、弁護士が裏でサポートするという方法も有り得るところ、本事例では、ご相談者様が対応することで、必要以上に事を荒げることなく、報酬の支払いに応じてもらえました。
解決までに要した時間
約2ヶ月(第1回目の法律相談から、合意書の締結まで)
当事務所ならではのサービス
弁護士に債権回収に関する相談を行った場合、弁護士にその債権回収業務を依頼しなければならないと思っているご相談者様が一定数いるようです。
当事務所では、背景事情や取引実情を考慮しながら、弁護士に依頼するべきか、ご相談者様自身で進めるべきかの両方をご提案し、できる限りスムーズに回収手続きが進むよう心がけています。
自らで債権回収業務を進めることを決めているものの、弁護士によるアドバイスその他バックサポートが欲しいという事例であっても、当事務所では積極的にご相談をお受けしています。債権回収に関するご相談があれば、是非当事務所までお声掛けください。