勝訴判決獲得後、数年待って債権回収を実現した事例
相談企業の業種・規模
■業種:サービス業
■規模:10名以下
相談経緯・依頼前の状況
共同で事業を行うにあたり、各自の役割分担を定め、その分担に伴う費用は各自負担とする取り決めを行った。
ところが、一方当事者が資金不足に陥り、他方当事者(ご相談者様)に金銭の借入を要請してきた。他方当事者は金銭を貸し付けたものの、返済されないまま現在に至っている。
何とかして貸付金の回収を図りたい。
解決までの流れ
お問い合わせを受け、状況確認と大まかな方針を検討するべく、法律相談にてお話をお伺いすることになりました。
共同事業は結果的に失敗に終わり相手方へ遠慮する必要はないこと、借用書等の必要な証拠も揃っていることから、内容証明郵便を出して支払ってこないようであれば、即座に訴訟提起し、裁判手続きを通じて回収を図った方が良いのではとご提案し、ご相談者様に一度持ち帰ってご検討いただくことになりました。
その後、提案通りで進めてほしい旨ご連絡があったため、内容証明郵便の送付、訴訟提起と手続きを進めていきました。
訴訟手続きにおいて、相手方は支払う金が無いとの一点張りで支払意思を示そうとしなかったことから、判決となり確定しました。
強制執行手続きができる準備を整えたものの、現時点で強制執行手続きを行っても功を奏しないと予測されたことから、ご相談者様に対し、今しばらくは静観し、時期を見て強制執行手続きを行うことを提案し、了承を得ました。
もともと相手方の動向については把握しやすい環境にあったことから、弁護士より半年に1回程度の頻度でご相談者様と連絡を取り合い、タイミングを狙っていたところ、数年後、相手方が新たに始めたビジネスが上向き始めたという情報をつかむことができました。そこで、強制執行手続きを行ったところ、貸付金と経過利息の全額を回収することができ、作業完了となりました。
解決のポイント
ときどき誤解されている方がいるのですが、訴訟を提起し、勝訴判決を獲得できたとしても、それだけでは債権回収を実現することはできません。判決が出てもなお相手方が支払ってこない場合、債権者自らが債務者の財産を探し出し、その財産に対して強制執行手続きを行ったうえで現金化する必要があります。
ただ、残念なことに、強制執行手続きは色々と制約があり、やや実効性に乏しいところがあります。
このため、勝訴判決を獲得した後に、どうやって債権回収を実現するのか戦略を練る必要があるところ、本件の場合、相手方の動向を把握しやすい環境であったことから、しばらくは静観し、相手方が忘れたころに一気に回収を図るという方法をとりました。
弁護士の経験と勘はもちろん重要ですが、本件では、ご相談者様の理解(我慢強さ)が最大のポイントだったと思います。
解決までに要した時間
■約5年(お問い合わせから、債権回収完了まで)
当事務所ならではのサービス
勝訴判決獲得直後に強制執行手続きを行ったものの、功を奏さなかった場合、いったん弁護士による対応は終了になることが通常です。
当事務所でもそのような対応にならざるを得ない場合もあるのですが、一方で、当初より長期的視点で債権回収を図るという方針を組み立てていた場合、債権管理の一環として一定期間ごとにご相談者様と状況確認しつつ、強制執行手続きを実施するタイミングを見定めるといったことも、当事務所では行っています。
ご相談者様のご意向に応じて、様々かつ柔軟な解決策をご提案することができることが、当事務所の特徴です。