FC加盟店と顧客とのトラブルに本部が巻き込まれた場合(本部側)
相談企業の業種・規模
■業種:飲食業
■規模:1000名以下
相談経緯・依頼前の状況
FC加盟店と顧客との間で、接客態度に関するトラブルが発生したようであり、顧客がフランチャイズ本部である当社に対し、FC加盟店及び担当者を処分するよう、執拗に連絡を入れてきている。
フランチャイズ本部としてどこまで対応すればよいのか、アドバイスが欲しい。
解決までの流れ
フランチャイズ本部が作成していた経緯を記載した資料、双方の言い分をまとめた資料を先に送付していただき、事前に内容を把握した上で第1回目の法律相談に臨みました。
本部としては、あくまでもFC加盟者と顧客とのトラブルである以上、関知したくないというスタンスでしたが、SNS等でチェーンを誹謗中傷する投稿が行われ、その投稿が拡散するレピュテーションリスクを考慮すると、本部は一切関知しないというスタンスは考え物であることを指摘させていただきました。
その上で、事実関係の調査と本部としての評価・結論(FC加盟店の対応に違法性があるのか、違法とまでは言えなくても不適切と言いうるのか、全く問題が無いのか)を出し、FC加盟店及び顧客の双方に示したほうがよいことを提案し、第1回目の法律相談を終えました。
その後、フランチャイズ本部としての一応の結論を出したので、その判断過程に問題が無いか相談に乗って欲しいとの連絡があり、第2回目の法律相談に臨みました。裏付けとなる一次資料を検証できていないことを留保しつつ、理由付けや論理性に関する一私見を述べさせていただきました。その際、FC加盟店及び顧客向けの説明文書についてリーガルチェックを行って欲しい旨の要請を受けましたので、別途費用が発生することを説明し、ご相談者様より了承を得ました。
弁護士においてリーガルチェックを行った説明文書を顧客に送付したところ、FC加盟店からは特に問い合わせはなく、一方顧客からは1回だけ連絡はあったものの、それ以上の連絡はないとのことでしたので、作業完了となりました。
解決のポイント
フランチャイズ本部に問い合わせが来ている以上、放置するという対応は基本的にお勧めできません。また、①FC加盟店が大事であるとして、顧客からの要求を蔑ろにする、②顧客が大事であるとして、FC加盟店に謝罪等を迫る…といった事実に基づかない価値判断だけで決めてしまうこともNGです。
ご相談者様の場合、弁護士のアドバイスを元に、FC加盟店及び顧客に対して今後本部がどのようなプロセスを経て対応するのか十分に説明し、調査結果を提示するという丁寧な対応を行ったことから、更なるトラブル拡大を防止できたものと思われます。
解決までに要した時間
■約2ヶ月(第1回目の法律相談から、説明文書の交付まで)
当事務所ならではのサービス
事業者であれば、必ずと言っていいほど顧客とのクレーム対応は行っているはずであり、弁護士に相談しなくても自社のみで対応可能と思われるかもしれません。しかし、SNSが隆盛する現代社会では、一個人が全世界に向けて情報発信できる時代です。クレームを適当にあしらう等不誠実な対応を取った場合、いわゆる炎上騒動となり風評被害を招きかねません。
したがって、クレーム対応するにしても、第三者の目から見て誠実に対応しているといえるのかという視点が極めて重要となります。
また、本件のような板挟み状態(一方を有利に扱えば、他方より文句が出る)の場合、完全に中立公平の立場で対処することは難しいものの、少なくとも一方だけの肩を持っているように見られないことが重要な視点となります。
当事務所では、様々な紛争解決事例を有していますので、その中で得られた知見とノウハウを活用し、多角的な観点をもってご支援させていただきます。