【事例8 労働組合からの不当労働行為救済申立てへの対応(労働委員会での対応)】
相談企業の業種・規模
業種:介護業
規模:100名以下
相談経緯・依頼前の状況
当社の従業員1名が労働組合に加入し、自身の処遇改善に絡めた団体交渉申入れを行ってきた。この申入れを踏まえ、何度か団体交渉を開催したものの、協議が整うことはなかった。そうしたところ、地方労働委員会より、不当労働行為救済申立てがあったので手続きに参加するよう連絡が入った。
初めてのことであり、何をすればよいのか分からないので、対応してほしい。
解決までの流れ
地方労働委員会より郵送されてきた資料一式をご持参いただき、第1回目の法律相談に臨みました。
弁護士より、不当労働行為救済申立て手続きは、①あくまでも団体交渉の実施方法・協議対応に関する紛争を扱うものであり、従業員との個別具体的な紛争を解決する制度ではないという建前があること、②しかし、最終的には従業員との個別具体的な紛争解決を目指した和解協議が行われることが多いこと、をご説明しました。その上で、当面は団体交渉の実施方法・協議対応に関する反論書面の作成に力を注ぐことをご提案しました。ご相談者様からは、当面の見通し・方針については理解できたので、代理人として対応してほしい旨のご依頼があったことから、受任予定であることを確認し、第1回目の法律相談は終了となりました。
その後、ご相談者様にお見積書を提示し、ご了承を得られたことから正式受任となりました。
そこで、現場対応してきた人事担当者からのヒアリングを何度か行い、事実関係を整理の上、反論書面を完成させ、地方労働委員会に提出しました。
地方労働委員会で行われた1回目の調査期日には、人事担当者と弁護士の2名が参加し、対応を行いました。主として公益委員より、会社と労働組合との間で争いのある事実の整理、それに対する証拠の有無、今後の進行予定について確認を行った後、会社と労働組合のそれぞれに対して次回調査期日までに準備すべき事項の指示があり、1回目の調査期日は終了となりました。
何度か調査期日が実施されていく中で、公益委員より暫定的な心証開示が行われると共に、従業員との個別具体的な紛争につき手続き内で協議する意思があるのか確認が行われました。事前にご相談者様と譲歩案を検討していたことから、協議する意思を伝え、労働委員会を通じて和解協議を進めました。
数度の和解協議のための期日を経て、会社と労働組合及び従業員との間で一定の合意に達したことから、手続き内で合意書の取り交わしを行いました。その後、従業員はもちろん労働組合から目立った動きもないことから、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
地方労働委員会で行われる不当労働行為救済申立て手続きは、ほぼ裁判に近い形で手続きが進行します。このため、ある程度時間がかかることを覚悟する一方で、自ら主張したい内容を文書化し、必要な証拠を取捨選択した上で提出し、調査期日で発する公益委員等の言葉の正確な把握などといった、高度な専門知識も合わせて要求されます。
本件事例の場合、弁護士に依頼することで、ご相談者様と弁護士とで役割分担を行うことができ、手続きをスムーズに進めることで解決に導くことができたのかポイントでした。
解決までに要した時間
約1年間(第1回目の法律相談から、合意書の締結まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所では、複数回の不当労働行為救済申立て手続きへの対応実績があり、実際の事例を通じて得ることができた知見とノウハウを有しています。