解雇か自主退職か、労使双方の主張が食い違う場合
相談企業の業種・規模
■業種:建設業
■規模:10名以下
相談経緯・依頼前の状況
何度指導しても誤ったやり方を行う従業員に対し、現場監督者が「覚えられないなら、明日から来るな」と発言したところ、翌日より当該従業員は来なくなってしまった。
しばらく放置していたところ、労働組合より、①解雇撤回、②パワハラへの謝罪、③慰謝料支払いを要求する団体交渉申入書が届いた。
どのように対処すればよいのか全く分からないので、支援してほしい。
解決までの流れ
まず、大きな枠組みとして、ご依頼者様に対し、この従業員を引き続き雇用し続ける意思があるのかを確認しました。この点、ご依頼者様からは、「ここまで揉め事が大きくなってしまった以上、できれば辞めてほしい」というご意向が示されました。そこで、弁護士より、ご意向に沿った形で解決を図るのであれば合意退職を相手方に提案するほかないこと、合意退職に当たっては一定額の金銭支払いが必要になることをご説明し、了解を得ました。
方針を固めた後、今後の手続きとして、団体交渉それ自体は開催せざるを得ないこと、一方で水面下交渉として労働組合の執行委員と合意退職に向けた協議を行うこと、という二方面作戦を実施することを提案しました。これに対し、ご相談者様より、一連の対応を弁護士が代理人として実行してほしいとのご依頼を受け、当事務所で受任することになりました。
その後、団体交渉の開催向けた段取り等をアドバイスすると共に、会社の人事担当者と弁護士が同席する形式で団体交渉を開催しつつ、弁護士が執行委員と団体交渉外で直接協議し、合意退職に向けた交渉を継続しました。
その結果、解決金を支払うことで合意退職することで妥結し、合意書を取り交わして作業完了となりました。
解決のポイント
現場監督者の発言は不用意と言わざるを得ないものの、一方で当該従業員の行動は、①安全衛生上の問題が大きいこと、②繰り返し指導を行っているにもかかわらず改善されないこと等の背景事情があったこと、③類似する裁判例ではパワハラに該当しないとするものがあること等を主張し、パワハラの成否に関しては双方の主張に大きな隔たりがあり、このような事態となっている以上、既に労使の信頼関係が破壊されていることを労働組合に理解してもらうことを主眼に置いた戦略をとりました。
また、現場監督者に人事権はないこと、発言内容からして解雇したとは言い難いこと、解雇無効と主張する従業員のその後の言動に矛盾があること等の根拠を、団体交渉の場で明確に指摘することも戦略の1つとしました。
さらに、労働組合が介入したことを利用して、あえて労働組合に従業員の説得をしてもらう形式に持っていく戦略も取りました。
労働組合が介入した場合、多くの事業者様・社長様は、「部外者が何を偉そうに言っているのか!」とお怒りになることが多いのですが、労働組合の本音と建前を見抜き、冷静に行動できるのかが解決する上でのポイントとなります。
解決までに要した時間
■約1ヶ月半(法律相談を受け、合意書締結まで)
当事務所ならではのサービス
解雇か自主退職かの問題は、昔から発生している問題なのですが、最近ではハラスメントと絡めて主張されることが多い傾向にあります。
事実関係の丁寧な聞き取りと整理はもちろんこと、多数の裁判例から類似事例を探し出すリサーチ業務、相手方の属性に応じた戦略立案など、当事務所では複数の事例を通じて得ることができた知見とノウハウを有しています。
当事務所では、これらの知見とノウハウを駆使した勘所をご提案することで、労使紛争の速やかな解決を目指し尽力します。
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