【事例4】生命保険を利用した節税方法の誤りに対する責任追及
相談企業の業種・規模
業種:サービス業
規模:500名以下
相談経緯・依頼前の状況
生命保険募集人より、某生命保険に加入することで、会社の利益を圧縮し節税効果があるとの説明を受けた。そこで、某生命保険に関する保険契約を締結し、保険料を支払ったところ、顧問税理士より節税効果がないとの指摘を受けた。
生命保険募集人に対し、どういうことなのか問い質しても誠意ある回答がないことから、訴訟提起も見据えて責任追及を行いたい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談では結論を出せないこと、責任追及可能か検証するための準備事項を整理することのみで第1回目の法律相談は終了とならざるを得ないことといった見通しをお問い合わせ時にご説明し、ご了承を得た上で第1回目の法律相談に臨みました。
第1回目の法律相談において、まずは、生命保険募集人が勧誘した生命保険(商品)自体に節税効果がないのか、あるいは生命保険(商品)に節税効果はあるが一定の条件を満たす必要があるのかによって、方針が変わり得ることをご説明しました。そして、これを検討するにあたっては、顧問税理士の協力が必要不可欠であり、顧問税理士との調整を行ってほしい旨要請しました。
また、生命保険募集人との交渉状況(どのような説明を受けたのか)について、時系列でまとめて欲しい旨要請しました。
さらに、生命保険募集人より提示された提案資料などを探し出して欲しい旨要請しました。
その他諸々の準備するべき事項を整理し、第1回目の法律相談を終了しました。
その後、資料等が揃ったとのことでしたので、第2回目の法律相談を実施しました。
この第2回目の法律相談において、資料の検討と同時にご相談者様からの補足説明を受け、生命保険会社及び生命保険募集人に対して責任追及するに際してのポイントの洗い出し、今後の見通しと弁護士費用につき説明を行いました。ご相談者様において一度持ち帰って検討したいとのことでしたので、第2回目の法律相談を終了させました。
しばらくして、ご相談者様より代理人として依頼したいとの連絡を受けました。
そこで、生命保険会社に対して代理人名義の通知書を送付しましたが、予想通りの回答であったことから、直ちに訴訟提起を行いました。
事前に、本件のような生命保険(商品)の説明義務に関する裁判例を調査し、訴状においても指摘しておいたことから、比較的スムーズに訴訟手続きは進み、最終的には裁判官より和解の提案がありました。ご相談者様と協議した結果、裁判官が提示した和解内容を受け入れるとのことでしたので、裁判上の和解を行い、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
説明義務違反による責任追及を行う場合、どうしても言った言わない論争になりがちで、客観的な証拠が揃わないという特性があります。
本件の場合、事前に準備できた資料等に照らし合わせて、ご相談者様が記憶する交渉経緯と矛盾が生じないか綿密に検討を行うと共に、複数の裁判例を事前検証することでポイントとなるべき事項を整理し、訴訟提起の段階から全ての主張と全ての証拠を提出するという戦略を取ったことで、比較的短期でご相談者様が被った損害・損失の半分強を回収することができました。
解決までに要した時間
約10ヶ月(第1回目の法律相談から、訴訟上の和解による解決まで)
当事務所ならではのサービス
正直なところ、当事務所は生命保険の勧誘による被害を専門的に取り扱っている事務所ではありません。
もっとも、生命保険以外の分野において説明義務違反を問う事例を複数取り扱っていることから、ある程度の知見とノウハウを有していると自負しています。
生命保険の契約者が事業者である場合、なかなか対応してくれる弁護士が少ないと聞き及びます。見通し等の話だけでも聞いてみたいといったご相談でも当事務所はお受けしておりますので、是非お声掛けください。
※上記はあくまでも一例です。案件ごとにより手順や結果が変わることもありますので、この点はご容赦願います。