【事例1 支払い延期要請を行う取引先からの回収業務】
相談企業の業種・規模
業種:卸売業
規模:50名以下
相談経緯・依頼前の状況
取引先より、「急な出費で手元に支払資金がない。1ヶ月支払いを先延ばししてもらえないか」というお願いがあった。何十年もの取引関係があるため、延期要請自体は受け入れようと思っているものの、やや気になるところもある。
何か準備しておいた方が良い事項はないか。
解決までの流れ
お問い合わせの際に、支払延期の対象となる取引関係を示す資料(契約書、注文書、納品書など)をご準備いただくようお願いした上で、第1回目の法律相談に臨みました。
第1回目の法律相談において、ご相談者様からは、「長年の信頼取引であり、注文書もなければ納品書もない。宅配便の伝票であれば残っているが、伝票だけでは売渡した具体的な商品は分からない」との説明を受けました。
そこで、弁護士からは、まずは取引があったことを証明する書面を作成することをご提案したところ、ご相談者様より、どういった書面にすればよいのかと質問を受けました。これに対し、弁護士からは、「支払い方法に関する条項や制裁(遅延損害金)に関する条項、連帯保証人を取ること、公正証書化することができればベストだが、そこまでやってしまうと、取引先もそう簡単にはサインをしてくれない」ので、とりあえずは「×年×月×日に注文し、×年×月×日に納品された商品××に不具合はありません。当社の都合により1カ月遅れの×年×月×日までに支払いますのでお待ちください」と記載することをご提案しました。
ご相談者様からは、上記を参考に一筆取付けることを確認し、第1回目の法律相談を終えました。
その後、ご相談者様より、書面を取り付けたが、取引先が支払ってくれないという連絡があり、第2回目の法律相談を実施しました。
ご相談者様からは、今になって商品にキズがある等の複数のクレームを出して支払いを拒絶されている旨のご説明を受けました。一方、第1回目の法律相談時にご提案した内容を記載した書類に取引先はサインしているとのことでした。
この状況を踏まえると、取引先は難癖をつけて支払い先延ばしを画策していると疑われることから、弁護士名義の内容証明郵便を送付すること、また心理的プレッシャーをかけることを目的として、取引先がサインした書類のコピーと作成済みの訴状案も送付することを提案し、別途費用が発生することにつきご相談者様より了解を得た上で、実行しました。
通知書送付後、ほどなくして取引先は支払いを行ってきたため、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
売掛金等の債権回収トラブルをいくつか経験すると、有りもしない不具合を理由に支払いを拒絶するというパターンが非常に多いことに気が付きます。そこで、本件事例でも、先手を打って不具合がないことを証する書面の取付けをご提案したところ、上手く機能し、債権回収を図ることができました。
なお、債権回収は心理戦のようなところがあり、相手に対して、「ここは先に支払っておいた方が良い」と思わせることが重要と考えています。そこで、本件事例ではやや手間が生じたものの、訴状案を作成し送付することで、いつでも訴訟提起できるというプレッシャーを相手に与えたことも回収を実現できたポイントになったものと思われます。
解決までに要した時間
約2ヶ月(第1回目法律相談から、売掛金回収まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所の代表弁護士は、金融機関からの依頼に基づく貸金回収業務、小売店からの依頼に基づく売掛金回収業務などを継続的に行っていた経験があり、それらの経験を活かして様々な債権回収業務を行っています。
蓄積された知見とノウハウは相当高度なものと自負していますので、売掛金や報酬金などの債権回収につきお悩みがある場合、是非当事務所までご相談ください。
※上記はあくまでも一例です。案件ごとにより手順や結果が変わることもありますので、この点はご容赦願います。