フランチャイズチェーン脱退後の元加盟者による競業行為への対応
相談企業の業種・規模
■業種:飲食
■規模:50人以下
相談経緯・依頼前の状況
加盟者からの申入れにより、フランチャイズ契約の中途解約に応じた。しばらくして、元加盟者が営業していた店舗において、フランチャイズチェーンと類似する店舗がオープンしたところ、当該店舗の実質的経営者は元加盟者であることが判明した。
元加盟者に対し、競業禁止義務違反を理由に店舗営業の中止を求めたい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談時に、内容証明郵便で警告書を送付し、自発的に競業行為を止めるよう求める方法が想定されるが、実効性に乏しいことをまずはご説明しました。その上で、法的には競業禁止義務違反を理由とした裁判手続きを行う方法と共に、事実上の対抗策として近隣にチェーン店を展開し、顧客奪取を図る方法もあることをご説明しました。また、裁判手続きの中でも、一般的な訴訟と民事保全(仮処分)手続きの2つが考えられること、それぞれの手続きのメリット・デメリット、解決までに必要と予想される時間、見通し、弁護士費用等について一通りご説明しました。
色々と検討するべき事項が多く、その場で即断即決という訳にはいかないことを踏まえ、ご相談者様には一度持ち帰ってご検討いただくという形で第1回目の法律相談を終えました。
その後、ご相談者様より第2回目の法律相談依頼があり、お話をお伺いすることになりました。将来的には近隣にチェーン店を出店させることを検討しつつも、一般的な訴訟を選択し、元加盟者の責任追及を行いたいとのご意向であったため、委任契約を締結し、速やかに訴訟提起を行いました。
訴訟の最中に元加盟者が運営する店舗が閉店してしまった等の事情を受け、一定額の解決金を支払ってもらうことを条件に、和解により裁判は終結となり、解決金の全額回収ができたことをもって、作業完了となりました。
解決のポイント
元加盟者に裏切られたという気持ちが強いためか、ご相談者様(フランチャイズ本部)によっては、かなり強い対応を求められることが多いと感じます。
ただ、そもそも競業禁止条項は有効といえるのか(法的評価)、元加盟者は競業行為を行っていると言えるのか(事実認定)、裁判手続き中の当面の対処法は準備できているのか等、色々と戦略を練る必要があります。安易に手続きを進めてしまうと、結果的に競業行為を許してしまうことになりかねないため、注意が必要です。
本件でも、上記ポイントをご相談者様にご認識いただき、1つ1つ確実に対策を実行できたことから、結果的に元加盟者による競業行為を中止に追い込むことができました。
解決までに要した時間
■約1年6か月(第1回法律相談から、和解による訴訟手続きの終結まで)
当事務所ならではのサービス
元加盟者による競業行為問題は、フランチャイズ本部を運営していると必ずどこかで経験する問題といっても過言ではありません。そして、多い問題であるが故に事前の準備が肝要であり、契約書における競業禁止条項の定め方はもちろん、競合行為を防止するための運営上の一工夫なども求められるところです。
当事務所では、競業行為が行われてしまった後の対処法はもちろんのこと、事前対策においても様々な事例を通じて、多くの知見とノウハウを保有しています。