【事例5】労働問題(残業代、不当解雇、団体交渉など)の解決事例・実績
相談企業の業種・規模
業種:人材紹介業
規模:200名以下
相談経緯・依頼前の状況
円満退職したと考えていた元従業員が、同業他社に転職し、当社の顧客先に対して営業攻勢をかけ、顧客奪取を行っていることが発覚した。
元従業員による営業活動を中止させたい。
解決までの流れ
第1回目の法律相談
問題となっている元従業員の退職の経緯をお伺いすると共に、労働契約期間中に取り交わした各種書類の確認を行いました。そうしたところ、元従業員は、競業禁止義務を定めた書類にサインしていたことが判明しましたが、裁判例の傾向からするとこの書類だけでは競業禁止義務の有効性を維持することは困難であることをご説明しました。その上で、今後の対処法を検討するためにも、①勤務期間中に他社(転職先)のために営業を行っていた事実はないかメール等を中心に調査すること、②元従業員より連絡があった取引先の内、ご相談者様からの調査に応じてくれる取引先を選定すること、③協力的な取引先より聞き取り調査を行うことをご提案し、第1回目の法律相談を終了させました。
第2回目の法律相談
調査結果を踏まえ、転職先に対しては不正競争防止法(営業秘密)に基づく請求、元従業員に対しては労働契約上の職務専念義務違反に基づく請求、退職時誓約書違反に基づく請求を行うことを決め、弁護士名義でそれぞれに対して内容証明郵便を送付しました。
転職先からは営業秘密が含まれているのであれば使用しない旨の返答があったものの、元従業員からは何らの返答がないことから、ご相談者様のご意向を踏まえ、元従業員に対しては訴訟を提起しました。
元従業員は、自らの言動については証拠もあり否定しがたいと考えたのか、専ら法律論での反論を行ってきましたが、裁判所はそのような反論を受入れず、ご相談者様に対して損害を賠償することを命じる判決を言い渡しました。元従業員は控訴をしたものの、控訴審でも元従業員の責任が認められると共に、損害賠償額が増額となる判決が言い渡されました。
その後、元従業員は判決で認容された額を支払ってこなかったことから、複数の強制執行手続きを実行し、元従業員に圧力をかけ続けた結果、時間はかかりましたが全額回収を行うことができたことから、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
入社時はもちろん、退職時にも元従業員より誓約書を徴収していたこと、その誓約書に顧客情報の持ち出しと利用を禁止することが明記されていたこと、元従業員が退職直前期に背信行為を行っていた証拠を発見できたこと、協力的な取引先が複数存在したこと等の条件を満たしていたこと、何よりこれらの条件を満たすべくご相談者様が積極的に対応したことが、元従業員との裁判に勝訴できたポイントとなりました。
解決までに要した時間
約3年(第1回目の法律相談から、損害賠償金の回収まで)
当事務所ならではのサービス
当事務所では、元従業員による妨害行為・嫌がらせ行為(競業、情報持ち出し、引き抜き、誹謗中傷など)への対応を複数取扱っており、実際の事例を通じて取得した知見とノウハウを保有しています。
当事務所では、法的対処法の可否に関するアドバイスはもちろん、費用対効果の観点からの検討、事実上の抑止力を重視した対処法など、様々な角度から総合的に考慮した予防策及び事後対策をご提案しています。元従業員による競業行為や情報持ち出し等でお悩みがあれば、是非当事務所までご相談ください。
※上記はあくまでも一例です。案件ごとにより手順や結果が変わることもありますので、この点はご容赦願います。