【事例4】労働問題(残業代、不当解雇、団体交渉など)の解決事例・実績【事例4 うつ病と休職】
相談企業の業種・規模
業種:サービス業
規模:100名以下
相談経緯・依頼前の状況
営業職に従事している従業員について、突然感情が爆発する、トイレの個室に長時間閉じこもる、必要以上に潔癖に拘り他人との接触を避けるなどの異常行動が目立つようになった。
本人と数回話をしているものの、本人には異常行動という自覚がなく、会社としても対応に苦慮している。
なにか良い対処法はないか。
解決までの流れ
お問い合わせ時に、会社が認知した異常行動とそれに対する対応につき時系列にまとめて頂くこと、直近半年の勤務時間(残業の程度など)・業務内容の変動(重責業務の有無など)・人間関係の変化(社内対立など)を整理して頂くことをお願いした上で、第1回目の法律相談に臨みました。
法律相談1回目
第1回目の法律相談において、
・会社が異常行動を認知したのは約3ヶ月前であること
・当初は様子見であったものの直近1ヶ月は異常行動が目立ち他の従業員に悪影響が出ていること
・取引先からも対象従業員の言動に困惑している旨の連絡があったこと
・会社からの調査に対し対象従業員が応じないこと
など、切羽詰まった状態であることの説明を受けました。
そこで、弁護士が直接対象従業員と面談し、
①対象従業員による言動について会社は心配していること
②専門医の診断を勧めること
③診断を拒絶するのであれば、安全配慮義務の観点から受診命令を出さざるを得ないこと
を説明し、対象従業員の意向に配慮しつつ、解決の方向性を見出せないかを試みることになりました。
初回面談後の動き
弁護士が対象従業員と協議したところ、対象従業員は当初興奮気味ではあったものの、次第に落ち着き、受診の必要性につき理解を示したことから、なるべく早く受診することを確認した上で面談を終了させました。
数日後、対象従業員は受診したようですが、その後は出社しなくなりました。そこで、やむを得ず身元保証人である親族に連絡を入れたところ、親族において確認し報告するという話になりました。その後、親族から連絡があり、対象従業員は出社できる状態ではないとの報告を受け、会社としての今後の対応を協議することとなりました。
法律相談2回目以降
そこで、第2回目の法律相談を実施し、
①無断欠勤とはいえ、いきなり解雇するのは不安が残ること
②まずは出社命令を出してみること
③同時に親族に対し、欠勤する理由があるのであれば何らかの根拠資料を出すよう本人に伝えてほしい(必要性があるのであれば会社は考慮することも伝えてほしい)旨要請すること
という方針で進めることを確認しました。
その後も対象従業員から連絡がないため、第3回目の法律相談を実施し、会社は休職命令を発し、休職期間中3週間に1回の割合で対象従業員との連絡を試みること、応答がないまま休職期間が満了した場合は自然退職扱いとすることを弁護士より提案し、実施することとなりました。
その後、対象従業員より連絡がないことから、自然退職扱いとしたところ、1ヶ月経過しても応答がないことから、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
本件の場合、仮に精神疾患が認められるとしても、業務遂行に起因するものなのかが判然とせず、方針を定めにくい案件でした。
そこで、様々な対処法が想定される中で、やや時間がかかるものの、1つずつ可能性を消去しながら対処法を絞り込むという手法を講じました。また、会社として、できる限りの配慮を示したことを裏付けるべく、あえて解雇せずに休職制度を適用し、対象従業員に一定の時間的猶予を確保するようにしました。
これらの配慮措置が対象従業員の反発を招くことなく解決するポイントになりました。
解決までに要した時間
約6ヶ月(第1回目の法律相談から自然退職扱いとなるまで)
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