【事例5】<元従業員によるインターネット上での競業行為とその対応>
談企業の業種・規模
業種:サービス業
規模:50名以下
相談経緯・依頼前の状況
当社は、某サービスを提供するにあたり、主にWEB広告を用いて集客し、当社に所属する担当者をユーザに専属させることで信頼関係を構築し、リピーター化させることで収益を確保している。
今般、元従業員が当社と同様のサービスを開始し、当社に所属する担当者数名を引き抜いたうえで、WEB広告を展開している。
何らかの対策を講じたいと考えているが、どういった方法があるのか教えて欲しい。
解決までの流れ
お問い合わせの際、ご相談者様が提供しているサービス内容を記載したWEBコンテンツを弁護士宛に送付することをお願いすると共に、ご相談者様が行っているWEB広告と元従業員が行っているWEB広告をいくつか抜き出し、ご相談日にご説明頂くことをお願いしておきました。
第1回目の法律相談において、ご相談者様より、就業規則や入社時誓約書等に記載のある競業禁止義務で対応できないかというご指摘を受けましたが、元従業員の職責・職位・担当業務及び競業禁止の内容が広範囲にわたることから、残念ながら難しい旨回答しました。
もっとも、WEB広告が顧客獲得方法になっているのであれば、元従業員が行っているWEB広告が配信できないようにすれば、元従業員は事業自体が成り立たなくなり、自然と消滅するのではないかとご提案しました。その上で、事前にご準備いただいたWEB広告を確認したところ、ご相談者様の権利を侵害するものと思われる表現を発見しました。
そこで、Google等のプラットフォーマーに対して違反申告を行ってみてはどうかと説明し、第1回目の法律相談は終了となりました。
その後、ご相談者様より、違反申告手続きを進めたいが、具体的にどのように行えばよいのか分からないとの連絡を受けたため、別途弁護士費用をご負担いただけるのであれば、対応法につきアドバイス可能であることを説明しました。弁護士費用のご負担につきご了解を得られたことから、弁護士において申告内容の文案を作成すると共に、その他手続きの進め方につき、画面を見ながら実践し、違反申告手続きを完了させました。
1週間程度経過してから、元従業員による広告配信がなくなったとの報告を受け、弁護士による作業は完了となりました。
解決のポイント
元従業員による競業行為への対応となると、競業禁止義務に違反しないか、営業秘密のもち出しがないかといった法的対策のみ検討しがちです。
もちろん、法的対策の検討も重要なのですが、中小企業の場合、なかなか法的対策を行うための前提条件が揃っていないことが多いというのが実情です。
そこで、発想を転換し、相手方がビジネスを遂行することができない環境を合法的に構築できないかと考えました。この点、本件の場合はWEB広告に着目し、WEB広告の配信をストップさせることで相手方の競業行為を中止に追い込むことができないかと考え検証したところ、うまく対処法が見つかり、満足のいく成果を得ることができました。
解決までに要した時間
約3週間(第1回目の法律相談から、広告配信が無くなったことを確認するまで)
当事務所ならではのサービス
当事務所では、「××の法的手段はあるが、××までしかできない」という法律を先に語ることはできる限り回避するようにしています。そして、「××を実現するためにはどういった手段があるのか、その手段として法的手続きはもちろん、事実上の手続きは考えられないか」という発想法に立ち、あくまでも法律は成果を得るための一手段として捉え、法的手段以外の思いつく限りの対処法をご提案するよう尽力しています。
柔軟な発想による解決法がないか尋ねてみたいというのであれば、是非当事務所までご相談ください。